第119呟【原子吸光分光光度計のメンテ】(2020年9月20日:公開)
第119呟【原子吸光分光光度計のメンテ】(2020年9月20日:公開)
島津製作所製の原子吸光分光光度計は、めっき液の
金属成分や不純物の濃度を測定するのに使っています。
ここの所、鉄を測ろうとするとベースラインが不安定で
検量線を引くために標準液を吸わせてもピークが出ない
とか急にアップダウンして一定値に落ち着かないとか、
いろいろ不便になってきてフレーム燃焼用のアセチレン
を沢山使ってしまうものだから何とかしてほしいと。
普通なら大抵は島津のメンテナンス部隊を呼び出して
クリーニングと調整を行ってもらえば楽なんだけれど、
ここは勉強ということで自分でやってみることにした。
まず燃焼フレームへ試料を噴霧して送り込むチャンバ
とディスパーザーをバラしてみたところ、内部に相当な
粉状の微粒子が溜まっていて、なるほどこれがときおり
脱落してフレームに送り込まれたとき、炎色反応の色が
変化して吸光度がフラつくんだなと判ったから、徹底的
にブラシで擦って取り除いて純水洗浄とエタノール洗浄
とで掃除した。
吸い込ませた試料を噴霧化するためのディスパーザー
も粉を噴いた様に汚れているので、これも徹底的に掃除。
ただ、先端についているセラミックスの玉の部分が
非常に折れやすくなっていてもの凄く神経を使ったね。
そしてこれはフクザツな削り出しのミキサー部品。
これが噴霧した液体と燃焼用のアセチレンを混合する。
ここも汚れが堪っていたのでクリーニングしておいた。
バラしたチャンバーを再び組み直してセットして
早速に鉄の試料を吸わせてみると、めちゃくちゃ綺麗な
フラットで安定した吸光度値が出てきたから、思わず
吠えたね。
「ほれみやー、汚れとったからあかんのだわ~」
そんなこんなでしばらくは使えていたのだけれど、
今度はスズの測定をすることになった時、全く
ピークが出ないことが新たに発覚。確かにフレーム
の炎色反応で吸光されているんだけれど、ビームが
分光器まで届いていないのか、光軸がずれてしまって
いる様子。それでフレームの乗っているチェンバー
の位置を調整してみることにした。
チェンバーブロックの水平と垂直方向それぞれの
調整ネジをゴリゴリと回して何とかマニュアル通り
合わせてみたところ、見事にスズでピークが出る様に
なった!そしてそれまで鉄の検量線を1~3ppmで
作れなかったのが光軸修正されたことで検出感度が
上がってやれる様になったのも良かった。前回は
チェンバー内のクリーニングは完了していたけれど
その時に位置調整まではやっていなかったから
これで完璧に直ったことになる。
「助かった~、これで島津を呼ばずに済んだわ~」
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