ヤマネ製作所・新型エアポンプ、評価結果発表。
客先にてハルセルめっき試験を行う時に重宝する小型軽量なエアポンプを自作しました。小型な2気筒ローリングポンプモーターを使い、LT3080ETで電圧をコントロールする回路を組み込んで、エア吐出流量をボリュームツマミで微調整できるシロモノです。
このシロモノが本当に現場で使えるかどうか、評価機を貸し出して使い勝手を確かめてもらったところ、以下の様な評価となりましたので発表します。
イ) 267mL標準ハルセル槽に規定量まで注水しエア撹拌実施した所、負荷時流量はMAX吐出量で700mL/分。
ロ) 液比重の高いクロムめっき液や硫酸銅、電気ニッケルめっき液ではさらに負荷時流量は下がるはず。
ハ) モーター寿命を考慮して最大駆動電圧を3Vから2Vへ落とした設定にしてあることが、流量不足の原因。
ニ) ビーカー建浴した無電解ニッケルめっき液のエア撹拌には便利に使える。
ホ) 板モノのめっきでは両側からエアを出したいので、ツイン出力があると便利。分岐コックを使って
二つに分けて使うのは常套手段だけれども、コック調整がめんどくさい。その点、ボリュームツマミで
細かく調整できるのはとても楽である。
これらの評価結果を元に、次機”改バージョン”への改良へ繋げていく所存であります。具体的には、
ヘ) モーター寿命を犠牲にしつつ、最大駆動電圧を2.5Vまで上げて吐出流量を改善。
ト) ツインポンプ仕様のバリエーションを検討する。手頃なケースが見つかれば即可能。
なんならトリプル仕様とか四連装・・・・・って魚雷発射管じゃあるまいし。---------------------------------------
新型エアポンプのエア吐出口から見た図です。内径4mm×外径6mmの熱帯魚水槽用エアチューブがそのまま刺さる仕様にしてあります。
新型エアポンプの流量微調整ツマミと電源入力ジャック側から見た図です。エア流量の微調整は機械式コックではなく電子式ボリュームツマミで行っています。電源入力にはDC5V出力のAC/DCアダプターを繋ぎます。
新型エアポンプの寸法を示す図です。40mm×55mm×20mmのタカチ製ABS樹脂ケースに組み込んであります。
新型エアポンプの裏面から見た図です。据え置いた時、滑らない様にゴム足を付けておきました。
新型エアポンプの内部構造です。中央に2気筒ローリングポンプモーター、右上の流量微調整用ボリューム、中央下に電圧コントロールのLT3080ET、右下にはDC5V入力用ジャックを配置しています。
新型エアポンプの電圧コントロール回路です。LT3080ETの最も単純な電圧制御回路で抵抗の数値で電圧を上下できます。上図ではVR1MΩとVR500kΩとを並列合成抵抗にして使っていますが、前者はバーンズ多回転ポテンショメーターでフルスケール調整用、後者はアルプス製基板取付タイプでツマミを取り付けて手動微調整に用います。また、直列に入れている別なVR1MΩは、これもバーンズ多回転ポテンショメーターですけどオフセット調整用で、VR500kΩをゼロに絞っても最低0.44Vがモーターへ掛かる様に調整します。これはモーターの始動開始電圧をプリセットしておくものです。これで合計200kΩとなる様に二つのポテンショメーターを調整しておくと、ボリュームを回した時に0.44V~2Vがポンプモーターに掛かる様になります。
LT3080ETのドロップ電圧は1.6V程度あるため、DC5V入力時ではポテンショメーターをどう調整しても最大3.4Vが限界ですが、ポンプモーターの上限電圧は3Vなのでこれで十分です。もっともフ ルパワーでぶん回すとモーターの回転寿命が早く来てしまうので最大2Vまでに抑えてある訳です。ちなみに、抵抗値と出力電圧の関係は、出力 [V]=10μ[A]×抵抗値[Ω]で決めることができ、200kΩの時で2V、300kΩの時で3Vといった計算になります。
新型エアポンプ製作に掛かった使用パーツを並べてみました。簡単な回路なので部品点数は少ない方だと思います。
新型エアポンプ製作パーツリストを記載します。部品一つ一つの単価を計算して合計してみると材料費は¥2,000-弱といったところでしょうか、予想よりもコストが掛かってしまいました。
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お世話になります。
MicroAirPump確認しました!
明日早速ハルセル試験等に使用してみます!
私も大阪に久しぶりに帰省していました。
色々やらかしたのでかなりバタバタしてしまいました(笑)
またご報告しますが名古屋の帰省はどうでしたか?
投稿: EAST | 2015年9月28日 (月曜日) 午後 06時56分
無事にお手元へ届いたようで安心しました。もしかして送り主が妖しいとかで着払い受け取り拒否でもされていたらどうしようと思って、クロネコヤマトの荷物追跡ページでF5キー連打していました。10時頃に配達完了に変わったので一応は胸をなでおろしていたところです。
性能に関して、恐らくはハルセル程度のエアだと賄えるでしょうけれど、硫酸銅のハーリングセルなどで使おうとすると力量不足な感が否めません。あれを撹拌するのにはパワーのあるエアポンプでないと無理ですし。
使用感などのご意見お待ちしております。使いものにならないなら使えない旨、コメント願います。でないと当方では勘違いして舞い上がったり小躍りしたりしてどうしようもありませんので。
PS:名古屋帰省は一瞬でした。あまり長居すると親の小言に悩まされるので。まだそんな高い家賃払ってわざわざ住まなくてもいいだろう的な小言。反論はしませんでしたが致し方ありません、当方は秋葉原中毒なので。
投稿: クロヤマネ子 | 2015年9月28日 (月曜日) 午後 08時20分
お伝えするの忘れていましたが大丈夫です。
着払いに関しては総務に話を通しておきましたので問題無いです(笑)
試験器具の購入に関して試作品を送って頂くので着払いでと言っておきました。
流量計で測定した所水をハルセル槽に規定量入れた状態でMAXで0.7L/minでした。
用途にもよるとは思いますが少し弱い感じがします。
基板用無電解ニッケルでビーカー試験するのであれば十分使えそうですが
電気ニッケルハルセルだと1.0~1.5L/min以上出ないと厳しそうです。
ポンプにチューブを差し込む際に少し中に差し込み口が入ってしまって
早速壊したかと思いました。
コンパクトなのでスペースを取らないので使い勝手は非常に良いです。
もう少しエアーを強くしたいというのとポンプ2つカチッとはめると繋がるとか
すると試験で両面からエアーを出したい際に便利です。
T字コックで微調整すればよいのですがダイヤルでの調整の方が楽で
使いやすいです。
秋葉原中毒ですか!深いところまではわかりませんがたまに
ガンプラ漁りに行きます(笑)ギャンとズゴックは購入しました!
男の浪漫ですよね~
投稿: EAST | 2015年9月29日 (火曜日) 午後 04時22分
早速にフィードバック有り難うございます、EASTさん。
> 総務に話を通しておきましたので問題無い・・・・・
総務のあのお方ですよね、お手数おかけしました。
>MAXで0.7L/min・・・・・
実際に液の入ったハルセル槽での負荷状態で0.7L/min.ですか、期待したほど出てないですね。寿命を考えてモーターのパワーを絞ってあるのですが、やり過ぎたかも知れません。でも調整できるように作ってあるので、もう少し流量は上げれると思います。
> ポンプ2つカチッとはめると繋がる・・・・・
それならば、ツインモーター式にしたら良いかもしれませんね、そういうバリエーションも考えてみます。
あと気になっているのは、どのくらいの寿命があるかです。ポンプ駆動にモーターを使っている関係でどうしても回転部分が先に壊れます。あの苛酷な現場で使えることが実証できれば、あとは大概の用途で問題ないでしょう。気長に結果が出るまで待ってみますが、意外と早く昇天してしまったというオチにならないよう祈っております。
投稿: クロヤマネ子 | 2015年9月29日 (火曜日) 午後 09時32分