やらかした記憶・・・第54呟【コンポジット無電解ニッケル・ダイヤモンド編】
【コンポジット無電解ニッケル・ダイヤモンド編】
コンポジットめっきのディスパージョンには様々なものが使えるけれども、変わり種としては刃の先端部にダイヤモンド粒子を埋め込んだ超硬ドリルを作るときにもめっき処理を使うことがある。微細研磨加工に使う工具で、円錐形や針状のドリルビット先端部分に耐摩耗性を高める目的でダイヤモンド粒子を埋め込むもの。浴種は電気ニッケルめっきでも無電解ニッケルめっきでも使える。
ダイヤモンド粒子は粉末だと切削性が落ちて意味がないので、明らかに目で見て判る粒として埋め込まなければならない。当然ながらめっき浴中では分散することなく簡単に槽底へ沈んでしまうから、巻き上げる様な噴流撹拌が必要。まためっき表面への共析は降り積もる位置にある面以外は無理なので、ドリルビットなどの場合は浴中で常に低速回転しながらのめっきになる。
外径φ2mmのビット先端にダイヤモンドコンポジット無電解ニッケルめっきを試作した時は、長さ3cm程度しかないシャフトをどうやってめっき浴中で水平を保ちつつ回転するかを考えねばならなかったけれど、模型製作用に確保していた低速回転のできる小型ギヤモーターを使って、10cm程度の延長シャフト先端に取り付けたビットをビーカーの液面付近で斜めに差し込んで回転する方法に落ち着いた。完全に水平というわけではないけれど、その辺は簡易式ということで妥協ですネ。
ビーカーの底に沈んでしまうダイヤモンド粒子を巻き上げるための噴流撹拌は諦め、ダイヤモンド粒子をめっき浴中でクルクル回っているドリルビット先端部めがけてパラパラと落とし続ける方法にしたのだけれど、案外これは上手くいってそこそこの試作品が出来た。マイクロスコープでビット先端部を観察してみると、ダイヤモンド粒子が無電解ニッケルめっきに半分埋まる様な形で共析しているのを確認できた。こうしていろいろ工夫しながら作った試作品ではあったけれど、またしても評価してもらえず採用にはならなかったんだっけ? めっき共析せずにビーカー底へ沈んだダイヤモンド粒子は再利用するために洗浄して残してあるんだけれど何かに使えるかしら。
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