ワンチップFMステレオDSPラジオチップのRTC6215でポケット形の4号機を作っておきましたのでご報告です。
フリスク120の横幅を少し大きくしたような縦70mm×横50mm×厚み12mmのポケットサイズで、1900mAhな容量を持つリチウムイオン電池を搭載して100時間連続で鳴るFMステレオラジオです。
サーバルちゃん「なにこれ黒い石板?もしかしてこれも四神なの?」
ラッキービースト「これは四神じゃなくて”でぃーえすぴーらじお”だね。」
サーバルちゃん「声が聴こえるよ、・・・えいてぃわんぽいんとすりぃじぇいうぇいぶ・・・、これって何かの呪文?」
ラッキービースト「81.3MHzのJ-WAVEだよ。キョウシュウでも聴こえるなんて、Eスポでも出ているのかな。」
(12/9:サーバルちゃんの画像、圧縮を失敗してて拡大表示するとジャギ酷かったから修正。)
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サーバルちゃんに踏まれている(←うらやましいゾ)のは、タカチ製プラスチックケースTW5-2-7にちょっと細工して厚みを15mmから12mmへ減らしたものに組み込んだFMステレオDSPラジオです。
一つの側面へ操作系を集中配置したためタクトスイッチの間隔がとても狭くなっており指先を酷使することになるかも知れません。
5個並ぶスイッチの真ん中が電源ON/OFF用で、2秒長押しするとONになって再度2秒長押しするとOFFとなりますから、不用意に押してON/OFFすることはない親切設計です。
向かって左二つは選局用のUP/DOWNで、右二つは音量用のDOWN/UPになっており、一番右端にφ3.5ステレオジャックを備えています。
一番左の選局用UPボタンのさらに端へ電源ON時に点灯するLEDインジケータがあって、これはφ0.5mm光ファイバーによって導光しておりパッと見ではどこが光るのか判らない様にデザインしてます。
裏面は元々のフタの周囲を削って箱内に落とし込むことによって15mmのケース厚みを12mmまで薄くする加工が施してあるので、一見してタカチ製TW5-2-7の外観とは違う印象となっており僅か3mm減っただけなのに随分薄くなった感じがします。
ケース内部の様子を晒してみますと、なんとまぁ電源のリチウムイオン電池が8割を占めていて残り2割のスペースへギュウギュウ詰めになっていて、DSPラジオ部分はまるでモバイルバッテリーの制御回路みたいになってる。
容量1900mAhなリチウムイオン電池を搭載しているおかげで、RTC6215の消費電流が17~19mA程度ならば100時間あるいは丸4日間連続で鳴ってくれるでしょう。
こんな狭いスペースへ組み込んだものだから本当に余裕なくて綺麗に配線できずグチャグチャになってしまい、挙句の果てにRTC6215モジュールは斜めに入っているとか表面実装プロトタイピング基板を2階建てにして使っているとか、もう大変な目に遭ってしまいましたの。
今回の4号機用に新しく作ったRTC6215モジュールで、32.768kHzクリスタルに円筒形ではなくて表面実装タイプを使ったことでさらなる小型化が望めました。
1.6mmある基板の厚みを利用して表面実装形クリスタルを埋め込んでいる様子で、以前まで使っていたφ2×5mm円筒形のものよりも随分とスマートになったと思います。
~~(これより以下は検討と試作と動作検証編です。)~~
~【2017年9月21日:まずSC2199を試してみた。】~~~~~~~~
¥108で(税込)で買えるワンチップFMステレオDSPラジオを4種類ほど集めて比較検討しています。
RDA7088とコンパチなSC1299を試してたところ、みわずかSOP16ピンで¥100なのに高感度で音も良いです。
まずは大き目なSOP16ピッチ変換基板に乗っけて動作検証してみましたが、電源ON/OFF、局シーク、音量調整など全てタクトスイッチで行うので、操作に慣れないと聞きたい局を選ぶのに苦労します。
あと、音量調整がゼロに絞れないとか、小音量時のステップが荒いとかのクセがあるものの、パワーアンプは積んでいないので4~8Ωスピーカーを繋げても大して鳴りませんが、32Ωヘッドフォンならガンガンうるさいくらい鳴ります。
aitendoや公式PDFに記載の回路だとイヤフォンアンテナが上手く働いてくれず感度が稼げませんので、上図の様にイヤフォンケーブルに繋がるL、R、GNDそれぞれに高周波分離用10μHインダクターを挿入すると改善します。
イヤフォンケーブルアンテナを利用しない場合は、FM-in端子へ直接に数十cmのアンテナケーブルを繋げば問題ありません。
あと電源について、SC1299の動作電圧範囲は1.8~3.6Vになっており、電池を2本直列にしたものが使える様になっています。
動作電流は実測で22mA程度でしたから、単3形電池2本直列なら連続で100時間くらいは鳴るんじゃないでしょうか、単4形電池2本直列でも50時間くらい?
もっと稼働時間を稼ぐため容量の大きなリチウムイオン電池を繋ぎたくなるのですけど、最大絶対定格が3.9Vなので充電直後の4.2Vを繋ぐと昇天するかも知れません。
なので電池へ直列に36Ωを噛ませて繋ぐと、22mAの動作電流が流れた時に0.9Vの電圧降下を生じてチップには3V前後が掛かるのでちょうど良い感じです。
電池電圧が2.7Vの放電末期になればO.9Vの電圧降下を差し引いて1.8Vがチップに掛かることになり、チップ動作限界状態で電池充電目安になり都合がいいと思います。
~【2017年10月5日:つぎにRTC6215を試してみた。】~~~~~~~
→とりあえず完成版できました。据え置き形DSPラジオの製作No.2
全く予想外でTS-SOP16タイプのRTC6215を手に入れたので、早速に載せるためのピッチ変換基板を既製品からカスタマイズしてみました。
おもて面のTS-SOP28面 うら面のSOP28面
秋月電子のTS-SOP28およびSOP28を2.54ピッチに変換する基板に細工して、TS-SOP16のRTC6215を載せるための変換基板にカスタマイズします。
TS-SOP面にチップを載せ、反対面のSOP面へ各種SMDパーツを載せたり配線を引き出したりすれば、TS-SOPの0.65mmピッチから配線引き出すのは骨が折れますけど、SOPの1.27mmピッチなら楽勝です。
2.54ピッチのパターンまで残すようにするとさらに楽なんでしょうけど、そうすると試作では問題ありませんが組み込み用途では小型化が望めませんので。
カスタマイズしたピッチ変換基板を使って本格的な組み込み用途の動作検証試作品を作ってみました。
RTC6215メインボードは15mm角の大きさしかなく、巨大なリチウムイオン電池や操作系スイッチボード、音声出力段カップリングコンデンサー基板と比較してかなり小さいです。
ピッチ変換基板のTS-SOP側にはチップのみ搭載、アンテナ同調用の24pFコンデンサーがデカくて飛び出していますが、メインボードは大体15mm角に納まっています。
ひっくり返してSOP16側に各種SMDパーツを搭載しつつ、スイッチや音声出力、電源入力用の各配線を引き出す作業は、ピッチが1.27mmなのでそれほど苦労はしません。
さて、aitendoおよび公式PDF取扱説明書の最終ページに記載がある回路図どおりに組立てテストしてみましたが、32Ωの一般イヤフォンを繋いだらバリバリ音割れして大変な目に遭いました。
おかしいな、と思って入力インピーダンスが10kΩと高いSTAX製イヤスピーカーSR-001Mk2を繋いでみたところ全く問題なくスバラシイ音でした。
このことから、RTC6215のLRオーディオアンプは出力インピーダンスが高めに設定されており、32Ωのイヤフォンを繋ぐと音が歪む様です。対策としてはLR出力へ330Ωの抵抗を噛ませれば歪みが消えて大人しい音になります。
アンプ出力は151mVrmsもあるので、抵抗を噛ませても音量は十分確保できます。SC1299の時はとても素直だったのに、このコはちょっとクセがあるようです。
※使い勝手に関して列記しておきます。(2017年10月4日:少し追記)
イ)局シーク時はLEDが忙しなく点滅して一生懸命探しているのが判るから健気。
SC1299だとシーク時は何か同調するまで動いているのかどうかさっぱり判らないから
ちょっと不安になる。
ロ)シーク時にボタンを押すと非同調な状態でも止められる。つまりボタンを高速で
ダブルクリックすれば好きな周波数で止められて、同調してなくても受信音が出る。
SC1299では何か受信できるまでひたすらシークしっぱなしになって、その間は
強制ミュート状態が続く。
ハ)電源ON/OFFボタンは1秒長押しでないと反応しない。SC1299は直ぐに反応する。
電源ボタンが不意に押され勝手にONしてたという事はRTC6215では起こりにくい。
ニ)受信感度に関しては、SC1299よりも若干良いようです。スペック通りかも。
ホ)音量調整ステップはゼロまで絞れる。SC1299ではゼロに出来ない。
~【2017年11月30日:RTC6215でポケット形を組んでみる。】~~~~
SC1299、RDA7088(SC2199とコンパチ)、AR1320、RTC6215の4種類からポケットDSPラジオの四号機を組んでみようと考えて収納するケースを色々と検討してみたところ、ようやく納得の出来るものが見つかったので製作に取り掛かろうと思います。
ABSプラ板からフルスクラッチでケースを作る予定を棚上げし、タカチ製TW5-2-7(縦50×厚15×横70mm)に手を加えて15mmの厚みを12mmにまで減らしたものに組み込もうと思った訳なのです。
厚み15mmだとズッシリ感があるのに僅か3mm減って12mmになっただけで結構な薄っぺら感を得られたので、ふとしたアイデアから始めた加工が上手くいった時は可成りテンション上がったっぽい。
ケース板厚自体が2mmあるから内側に入れられる最大厚みは8mmまでとなり、使う予定の厚み6.8mmなリチウムイオン電池を入れてもムダなスペースは極力少なく出来そう。
~【2017年12月3日:ケース加工を完了しました。】~~~~~~~~~
縦70×横50×厚12mmのケースへ、ステレオジャックと操作系タクトスイッチ5個の取付けが完了したところです。
5個横並びのタクトスイッチは、電源ON/OFF、音量UP/DOWN、同調UP/DOWNに使うもので、まだどのスイッチに割り振るかは決めていませんけど、イヤフォンジャックに近いスイッチはプラグが刺さっている時に押しにくくなるので、電源ON/OFFにするのが良いかも知れませんね。
ケースの内側はどうなっているかというと、1.2mm厚の極薄タクトスイッチを並べて狭い領域へ組み込んでおり加工が大変でした。
この極薄タクトスイッチに別なタクトスイッチから取り出したボタンヘッドを組み合わせ、省スペースな押しボタンスイッチを構成しているのが今回のミソで、一般的な6mm角のタクトスイッチを使えればこんなにも苦労はしなかったでしょうけど、それだと横並びで5個入らなかったからしょうがないじゃない。
裏ブタはパーツが飛び出して干渉する部分を削ってあったりするのであまり綺麗ではありません。
裏ブタを閉じる4箇所のネジ穴は搭載するリチウムイオン電池と干渉する2箇所のボスを除去しているので別な方法で浮かない様にする必要がありましたけど、写真の様にツメを設けることで先に引っ掛けておいてから残り2箇所のネジで止めればしっかりと閉じることができます。
※製作は各人の判断にて行い、それによって生じる責任を負うこともお忘れなきよう。
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