第111呟【グリーンオーナメント製タイマーライトの分解・解析と改造その弐】(最終更新は2018年8月4日です)
100均のセリアやミーツ、ワッツ店その他ダイソー店でも手に入るグリーンオーナメント製のタイマーライトを分解して回路解析しておきましたのでご参考に。8ピンのワンチップマイコンPIC12シリーズを搭載しており、コンデンサー放電式のタイマーIC555と比較してタイマー時間の精度が優れています。
解析結果から改造箇所としてセレクト線の途中にマイクロスイッチを1個足しておくと、時間が来てLEDが消灯した後にポチっと押すだけで再度タイマー動作が設定されてLEDが時間まで再点灯してくれます。(→詳細は後述)
あまり明るいとは言えませんけど、電球色チップLEDを3個搭載したスリープタイマーライトです。
点灯/消灯設定は、常時点灯の他に5、10、20、30分のスリープモードが選択出来る様になっています。設定の合わせ方はカメラレンズの絞りリングを回す要領で、ボディ中央にある回転リングをスライドさせる仕組み。内部にロータリースイッチ様の接点が組み込んでありとても良く出来ています。
内部基板を見ていきます。CEM-3ガラスエポキシ基板へ整然と部品が並んでおり全てSMDでした。裏面からは電源プラス線、電源マイナス線の他に、点灯設定選択用のケーブルが電源マイナスから出ていますので、表面にある選択接点をグランドに落とすことで各タイマー設定が選択される仕組みと判ります。
SOP-8形メインチップを見てみます。表面には型番を示すマーキングがなくてノッペラボウですけど、裏面には個体番号?の様なものがレーザー刻印してありました。これを検索したら何も出てこないので、恐らくは顧客オーダメイドの焼き込みプログラム識別番号と考えます。
すべての部品を取り外してプリント配線パターンを読んで回路図に起こします。
上図が読み取った回路図になります。以下箇条書きで解析結果を記しておきます。
a) 電球色チップLEDは3個並列接続してある。
b) LED駆動用トランジスターはY2の表記があるSS8550でPNP形。
c) 電源パスコンは1μFのチップコン。
d) MCUは8番ピンがマイナス接続で1番ピンがプラス接続なので、
これはPIC12シリーズの特徴と一致する。
(1番ピン→VDDでプラス、8番ピン→VSSでマイナス)
e) 2番ピンはLED点灯用の出力に使っており、PIC12シリーズならプルアップありの
GP5ピンに相当か。
f) 3番ピンは20分後消灯の設定に使っており、PIC12シリーズならプルアップありの
GP4ピンに相当か。
g) 4番ピンは30分後消灯の設定に使っており、特徴的なのはこのピンのみ100kΩで
プルアップしてあること。PIC12シリーズなら内部プルアップ無しのGP3ピンに相当
するので、外部プルアップは妥当な処置と言えるのだが。
h) 5番ピンは10分後消灯の設定に使っており、PIC12シリーズならプルアップありの
GP2ピンに相当か。
i) 6番ピンは5分後消灯の設定に使っており、PIC12シリーズならプルアップありの
GP1ピンに相当か。
j) 7番ピンは常時点灯の設定に使っており、PIC12シリーズならプルアップありの
GP0ピンに相当か。
k) 電源の1.5V×3本電池直列4.5VはMCUに常時直結してあり、LEDを消灯する
場合は設定ピンをグランドから切り離すことで実現している。プログラム上で、
設定用3~7番ピンのいずれかがグランドに落ちていない場合は2番ピンを出力しない
様に工夫しているものと推測。
l) 設定用のロータリー接点はすぐに接触不良を起こして使い物にならなくなるのではないか
と考えるけれども、ここには電流がほとんど流れることはなく焼ける心配はない。
タイマー用コンデンサーに充電電流が流れると考えるかも知れないけれど、
タイマーのカウントはマイコンのプログラムで行っていて、カウント用レジスターの
上限値設定を3~7番ピンのグランド接地によるLOW検出で切り替えているだけ
だから、錆びたりして酷いことになってもそこそこ使えるんじゃないかと。
m) チップがマイコンならクロック用のクリスタルが要るじゃないのと考えるけれど、
PIC12シリーズなら4MHzクロックを内蔵しているので外部に必要ない。そのお蔭で
電源ピン以外の6ピンを入出力用に使える。
n) 以上のことから、MCUにはPIC12シリーズを使っている可能性が非常に高い。
~2018年8月2日:追記(マイクロスイッチによるポチッと再点灯改造)~~~
文頭にも記述しましたが、タイマー時間を決めるセレクト線の途中にマイクロスイッチを1個足すだけで、時間が来てLEDが消灯した後に半透明ホヤの頭をポチっと押すだけで再度タイマー動作が設定されてLEDが時間まで再点灯してくれます。
この改造により、一旦タイマーが働いてLEDが消灯した後の再点灯で、タイマー時間設定用のリングをもう一度回す必要がある扱いづらさは改善されることでしょう。
タイマー時間を設定するロータリースイッチのロッド側の途中にマイクロスイッチを導入します。スイッチへの配線はC端子(コモン)とNC端子(ノーマルコンタクト)とに繋ぎますが、通常時はこの端子間が導通状態となりスイッチを押した時だけ切断するプッシュオフスイッチの動作になります。
半透明ホヤを支えている二箇所の爪の一方を削り取った後、マイクロスイッチを頑丈に取り付けます。ドーム部分を軽く押した時にスイッチがカチッと上手く動作する様に位置を調整しておくのがポイント。この部分の加工を失敗するとフィーリングが悪くなるので頑張りましょう。
今回使ったマイクロスイッチの紹介。なるべく小さなものが良かったので手持ちの中から小さな松下製をセレクトしました。高さは5mmほどしかありませんから、狭い空間への組み込みには重宝します。写真下のちょっと大きなオムロン製は入らないっぽいのでまたお蔵入りです。
この追記を書いている最中にタイマー5分で設定して様子を見ていますけど、5分後に消灯するのを確認してドーム部分をポンッと押せば再点灯してまた5分後に消灯します。
「 フフッ、健気なヤツめ、カワイイのぉ。 」
これ手元に置いて光らせておくと、どれだけ時間が経ったのか考えなくても判るのでオモシロイです。時計だと文字読まにゃならんし、アラーム音を鳴るようにすると耳障りで一々鬱陶しいけど、LEDライトならパッと消えたのが視界の端っこでも判るから疲れないですよ意外と。
~2018年8月4日:追記(タクトスイッチによるポチッと再点灯改造)~~~
先日はマイクロスイッチを追加した再点灯改造方法を記載しましたが、小型なマイクロスイッチが手に入らなかった時に、大概どこでも入手可能なタクトスイッチを使った改造が可能か検証してみたところ、問題なく上手くいきましたので報告しときます。
前に記載している回路のマイクロスイッチが入っている箇所へ、トランジスターの2SC1815と10kΩの抵抗を追加するのが今回の改造方法です。トランジスターはNPN形の汎用品で置き換えでき、例えば2SC372、2SC458、2SC828、2SC945などが使えます。
トランジスターと抵抗はスペースに余裕があるので空中配線で十分です。タクトスイッチは6mm角の汎用品で全高5.5mmタイプのものを使っていますが、スイッチを設置するための台座の長さとの兼ね合いで異なる高さのものも使えます。
具体的には、全高5.5mmのタクトスイッチを使う場合の台座高さは9.5mmでしたから、例えば全高6mmタイプのタクトスイッチを使うのであれば台座高さは9mmにすれば良いということです。つまり、(台座+タクトスイッチ)の高さ=15mmを目安にアレンジ可能ということです。
マイクロスイッチの時は半透明ホヤ側に取り付けていましたけれど、タクトスイッチの場合は設置加工が難しかったので、電池ボックスの上にピラーを立ててその上に載せる方法としました。これが意外と上手くいったので、マイクロスイッチの時もボディ本体側に取り付ければ簡単にやれたじゃないの、わざわざ小さなタイプを探さなくても汎用品のちょびっと大き目なモノでも大丈夫だったことに気付いて、いつもの悪いクセ『何でも難しくやろうとする頭の固い苦労性』にほとほと呆れてしまいました。
タクトスイッチの取付けに関する情報を載せておきます。台座に載せたタクトスイッチのボタントップからカバー内側までのクリアランスは1.8mm程度です。また上からみた時のタクトスイッチの位置は、ボタントップが半月ぐらい見えている感じでOK。
※分解と改造は各人の判断にて行い、それによって生じる責任を負うこともお忘れなきよう。
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