第107呟【Nゲージの動力に使えるモーターの分解】(2018/6/17:コイル結線方法)
※最新情報(2019年12月15日:TOMIX M-13モーター分解記事→こちら
鉄道模型のNゲージ用動力モーターを分解して並べてます。巷で比較的に入手の容易な両軸モーターが色々と集まってきたので、外観は似ているけれど中身はどう違うのかを比較してみます。特に、回転寿命を決めているブラシ形状が知りたかったので。
※最終更新は2018年6月17日です。追記分は後ろの方に続けています。
一先ず、手元にある両軸タイプの6種類を並べてみました。寸法形状の違いとしては、高さ8mm×幅10mmの小さなタイプと、高さ10mm×幅12mmの一回り大きなタイプとがあります。どのモーターも軸径はφ1.0mmのものをピックアップしており、汎用性が高いので重宝してます。
比較対象は、左から以下を並べています。モーターの正面と端子側との比較写真ですが、端子側に差異がある他は似た様な構造になっていて見分けはつきにくいです。
1.バンダイ製Bトレイン専用動力ユニット[1]のモーター
2.若松通商で昔に仕入れたジャンクモーター
3.バンダイ製Bトレイン専用動力ユニット[3]のモーター
4.IMON製ミニモーター 1215D
5.TOMIX製M-9モーター
6.アルモデル製アルモーター RN-1015W
ブラケットの爪を起こして分解したものを並べてみました。バンダイ製Bトレイン専用動力ユニット[1]のモーターのみ全長が短いので回転子も半分くらいになっている他は大差無いように見えますけれど、整流子とブラシの構造が決定的に違っています。
ブラシに関しては、TOMIX製M-9モーターのみカーボンブラシでそれ以外は全てフォーク形ブラシとなっており、その中でもバンダイ製Bトレイン専用[1]のみフォークが2本である他は3本構造になっています。
整流子との接触位置に関しては各社で様々となっており、文章で説明するのはちょっと困難です。特徴的なのはTOMIX製M-9モーターで、何れのモーターも斜め上下方向から挟み込むのに対し垂直上下方向からとなっていること(←写真上ではそう見えますが、実際に整流子を挟んだ状態では他のフォークブラシ形と同じような斜め方向からの抱え込みになる様です)。
整流子に関しては何れも3極モーターなので端子も3極ありますが、よく見るとその配置が微妙に異なっているのが判ります。これも文章で説明するには難がありますので別な図解が必要でしょう。
Nゲージでバンバン走らせても長持ちするモーターというのは、ブラシ回転寿命の長いものが必要でしょうから薄い金属片であるフォーク形だと短命でしょう。今回はバラしていないKATO製の開放形モーターはカーボンブラシを実装していて滅多に壊れることがなく超寿命ですが、同じくカーボンブラシ構造のTOMIX製M-9モーターは意外と短命で評判が悪い話を良く耳にします。その問題については整流子とブラシとの接触位置に原因を見出す考察がネット上で流れてますのでそちらが参考になるでしょう。
~2018年4月22日の追記分(新たに2種類を追加)~~~~~~~~~~~~~~
新たに2種類を分解したので追記しておきます。
7.TOMYTEC製TM-ED01動力ユニットのモーター
8.TOMIX製M-11モーター
TOMYTEC製のTM-ED01動力ユニットに使っているモーターは、両軸が少し短めになっていますけどTOMIX製M-9モーターと同形と推測します。TOMIX製M-11モーターの方は、こちらも両軸が短めですがバンダイ製Bトレイン専用動力ユニット[3]のモーターにソックリです。
両モーターともブラシや整流子の形状は、それぞれの類似品と同等になっています。唯一異なるのはブラケットのロット印字面に、内側のマグネット位置決めのためのデントが形成されていることぐらい。TOMIXとTOMYTECはブランド名称が異なるだけで同じメーカーですし、M-9モーターの新しいロットではデントの付いたものを見掛けるので、今後はこのタイプが続くものと思います。
~2018年6月17日の追記分(コイル結線方法を調査)~~~~~~~~~~~~~
三相交流モーターではデルタ結線やスター結線は一般的で当たり前なのですけど、ブラシ付き直流モーターはデルタ結線のみと思い込んでいたので相当に驚いた訳です。
上図はブラシ付き直流モーターにおける3極の整流子とコイルとがどのように繋がっているかを示したものです。図左のデルタ結線では整流子1極あたりコイル線は2本繋がっていますけど、図右のスター結線では1極あたり1本しか繋がっておらず、中心の3本が交わっている部分は整流子とは繋がっていません。
上図はマブチモーターなど一般的なモーターの結線状態で、整流子の1極あたりにコイル線は2本繋がっているのが判ります。
そしてこれがφ6mm径コアード振動モーターの珍しい?スター結線な回転子。コアの溝へ折り畳まれる様にしてスター結線の3本撚り接続部分が観察できます。これを起こしてちゃんと3本撚りになっているのを示したのが右図で良く判るでしょう。当然、整流子の1極あたりコイル線は1本しか繋がっていないことも間違いありません。
さらに上図はKATO製小型車両用動力ユニットのモーター回転子も同様にスター結線となっている証拠写真です。こちらの3本撚りスター結線部はコア溝に押し込まれて樹脂封止してあるので良く見えませんけど、整流子1極あたりにコイルが1本しか繋がっていないことでスター結線であることが判断できます。
三相交流モーターでは3本あるコイルの繋ぎ方をデルタやスターに切り替えることが出来ます。始動時にはスター結線にしておき、加速したらデルタ結線に切り替えることで効率的に始動できる仕組みがあるのです。
まさか直流のブラシ付き3極モーターでも同じ効果が得られるのかどうかは勉強不足で判りませんけど、結線方法によっては同じコイル巻き数でもコイル抵抗や電流値は変わってくるので、小さなモーターに大電流を流して焼損させないような意図があるのかも知れません。
※分解は各人の判断で行い、それによって生じる責任を負うこともお忘れなきよう。
【こちらもご参考に】
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コメント
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デルタ、スター、昔勉強したのだと思いますが、言葉だけは頭に残っていますが動作原理などは遥か昔に忘れてしまいました。
いくつも持っている三相式の手回し発電機がどういう結線か気になりますが、分かったところでどうすることも出来ないのでそのままにします。
ところで、
ダイソーで「光るハンドスピナー(18パターン)」なるものを見つけました。
「光る」部分が気になり二個購入。RGBチップLED(4端子、1.5mm角位)が7個と制御用14pinICが入っています。
電源を入れて回転させると見ていて飽きない沢山のパターンが切り替わり楽しいです。約3分で自動切。停めたままではLEDが高速点滅しているだけで面白くないです。
基板を外して扇風機に付ければ面白いかなと思いましたが、まだ分解できていません。
投稿: mytoshi | 2018年6月17日 (日曜日) 午後 09時18分
まるで関係のない話ですが、
LED化した懐中電灯を非常用に置いておく場合、液漏れの心配がない単一マンガン乾電池にすることを考えています。(百均で三本入り)
電池の容量が気になるので探したところ、パナソニックの資料が一番参考になりました。
「[アルカリ・マンガン] 乾電池の電池容量はどれ位? PZ29060」
http://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/29060/~/%5B%EF%BD%B1%EF%BE%99%EF%BD%B6%EF%BE%98%EF%BD%A5%EF%BE%8F%EF%BE%9D%EF%BD%B6%EF%BE%9E%EF%BE%9D%5D-%E4%B9%BE%E9%9B%BB%E6%B1%A0%E3%81%AE%E9%9B%BB%E6%B1%A0%E5%AE%B9%E9%87%8F%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%82%8C%E4%BD%8D%EF%BC%9F-pz29060
投稿: mytoshi | 2018年6月17日 (日曜日) 午後 10時39分
ハンドスピナーと電池容量の情報ありがとう御座います、[mytoshi]さん。
ハンドスピナーにLEDを仕込むとは、技巧派の連中も中々やるもんだと感心しました。さらにバーサライタ―まで仕込んで、文字を浮かび上がらせるとは大したもんです。携帯型扇風機の羽根に仕込む芸当は知っていましたけど、まさかハンドスピナーにまで搭載するとはオドロキです。
電池容量についてのデータは、松下の資料の例のグラフで負荷電流に応じたものが一目瞭然で助かります。流す電流値が低ければ、マンガン電池でも相当の容量があることを知って思わず目を丸くしました。
投稿: クロヤマネ子 | 2018年6月18日 (月曜日) 午前 06時38分