第100呟【ショートしたAC100Vプラグを修理する(2017/8/8)】
第100呟【ショートしたAC100Vプラグを修理する】
夏に冬にと一年中大活躍している布団乾燥機のAC100Vプラグをいつものようにコンセントへ差し込んだら、パンッ!!という爆音と共に火花が舞い散った。あれれ?なんでショートするの~と思ったら、根元の線が剥き出しになっていて、そこが接触したらしいと判る。
プラグを早速バラしてみたら、内部が真っ黒に銅スパッタされてた。これはショートした時の熱で配線コードの銅芯が溶けて蒸発し、それが内壁へ蒸着されてしまったもの。スパッタ部分にテスターを当てて絶縁抵抗測ってみたらスゴイな、たった数kΩしかないじゃないの! 当然このままでは危なっかしくって使えないから銅スパッタの部分を除去しなきゃなんない。そんなことせずに数百円出してプラグ付け替えれば済む話なんだけれど、ここはもう少し化学的に足掻いてみる。
これは真っ黒な銅スパッタを薬品でエッチング除去したもの。どうです?綺麗になったでしょ! 思わず新品かと見違えそうになった。
銅をエッチングする一般的な薬剤だと、塩化鉄(Ⅲ)とか塩化第二鉄と呼ぶ三価の鉄イオンを含んだ塩酸酸性溶液を使うんだけれど、そうじゃないものだってある。誰でも気楽に入手できるもので作ろうとすると、薬局で買える過酸化水素3wt%前後のオキシドールに、食酢やクエン酸などの有機酸を混ぜたものや、有機酸の代わりに希塩酸を含んでいるサンポールとの組み合わせとか。前者は有機酸オキシ系、後者は塩酸オキシ系なんて言われる。ちょっと難易度は上がるけれども、最も実用的なのは自動車用バッテリーの鉛蓄電池に使っている希硫酸との混合物で、硫酸オキシ系はエッチング速度に優れる。
今回使ったのは、スーパーで買えるトイレ掃除用サンポールと万能掃除用クエン酸粉末に、薬局で買えるオキシドールとを組み合わせたもの。クエン酸とオキシドールだけでもやれるんだけれど、サンポールには界面活性剤が入っていて濡れ性が期待できるので。エッチングの速度は過酸化水素濃度が高いほど早くなるけど、薬局で買えるオキシドールは3wt%程度しかなく、本当ならその3倍くらいは欲しいところ。ま、あんまし濃いものを作ってしまっても廃液処理に苦労するからその辺りで妥協したほうが無難。
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ウォ~!驚き!
綺麗になるもんですね。
こんな方法は考えたことも有りませんでした。
一応「化学系」卒業なのだけど、如何に学んだことを頭で結び付けて使っていないことか…。
まあ、在学中の部活は無線工学部で、学外ではポップスファンクラブという化学系の人間が入らないようなところで遊んでいたから当然の報いなのだけど。
話はまるで変わりますが、
400円前後で合計5台購入した「デジタル温度湿度計」(HTC-1)がLCDのコントラスト濃くて見易く気に入っているのですが、個体ごとに温度表示が微妙に異なるのです。
NTCサーミスタとバランス抵抗器のばらつきがそのまま出ている感じ。
バランス抵抗器の表示が1004なのでサーミスタは100kΩだと思うのですがB定数がわかりません。そのうちに可変抵抗器で抵抗値と温度表示をチェックしたいと思います。
丁度良いNTCサーミスタが安く大量に手に入れば選別して交換しようかと考えています。
手に入らなければバランス抵抗器を半固定抵抗器にして微調整?でも温度係数の変化が大きい?
HTC-1には時計機能も有るのですが時計の誤差が非常に大きい。一日に「+1時間」や「-1.5時間」という酷いものも有ります。現状では時計としては使っていない。
これはクリスタルの外装をGNDに落とせば少し改善されるらしい。
それでも駄目ならクリスタルの両端に付いている20pFをトリマーに替えて周波数微調整するしかないか。
他にも試したいことは山ほどあれど「ヤル気」がなかなか出てきません。
投稿: mytoshi | 2017年8月 8日 (火曜日) 午後 10時11分
( '-')> しょぼいエッチング液ですけれど、ショートして出来たスパッタ膜は極めて薄い銅膜ですし、
酸化して黒くなっていれば余計に溶けやすくて好都合です。
デジタル温度/湿度計の件、品質のバラツキは価格から考えても致し方ないかと思います。ネットで写真見ましたけど、確かに表示の液晶がクッキリしていて見やすいのに誤差が大きいのは惜しいですね、あれこれと何とか足掻いてみたくなります。
時計機能の誤差については、水晶のバラツキとかだとガッカリします。国産の32.768kHz水晶に替えてみるとかどうでしょう。
投稿: クロヤマネ子 | 2017年8月 9日 (水曜日) 午前 04時30分