やらかした記憶・・・第98呟【電子顕微鏡観察での失敗】
【電子顕微鏡観察での失敗】
表面処理製品の不良解析では、不具合箇所の表面および断面方向からの外観観察と成分分析とを、走査型電子顕微鏡(SEM)やその付属装置であるエネルギー分散型X線分析装置(EDS)で行う。大概はSEMと同時にEDSもやるので装置的に両者は一体になっている。
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【SEM側での失敗】
イ)非導電性のサンプルだと知らずにビーム当てたらチャージアップして画面真っ白、サンプル焼けちゃった。
ロ)モータードライブ式X-Yステージの操作がトラックボール式だと楽しいからブンブン転がしてしまう。
ハ)高さ方向Z軸の調整を誤り、ステージを上げ過ぎて鏡筒にサンプルをぶつけてしまうこと幾度か。
ニ)測定室を真空に引くとき、扉が僅かにしまっておらず油ポンプがオーバーヒートして警告表示が出たり。
ホ)建屋の外の道路をダンプやバスなどの大型車両が走っていると5千倍以上の観察画像がブレプレ。
ヘ)二次電子の出にくいサンプルで電子ビームの電流を上げ過ぎて、あっと言う間にフィラメント切れた。
ト)今さっき交換したばかりなのにすぐフィラメント切れた。ウェネルトが綺麗に掃除してなかったっぽい。
チ)X-Yステージのボールベアリングが壊れて移動が重くノロノロ。ジュラコンスペーサーで応急処置。
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【EDS側での失敗】
リ)斜め上から刺さっている検出器へ影を作る凸凹サンプルに気付かず、何も検出しないから焦る。
ヌ)検出器冷却用の液体窒素が空になっていて、いざという時にデータ取れなくて焦る。
ル)凸形のサンプルを計測中に軟な検出器へぶつけて壊したりするから焦る。
ヲ)検出元素の自動同定であり得ないものがプロットされたのをそのまま客先に提出してしまい焦る。
ワ)チャージアップ防止用の金スパッタしてから、リンの定性定量するとピークが被って全く判らず焦る。
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【東日本大震災の時】
カ)画面見ていたら建屋の外を大型車両が通過する時に現れる焦点ブレが出始めたから、
こりゃぁスロースキャン撮影やり直さなにゃーと思っていた矢先、止まないブレが建屋全体に
拡大し漸く地震だと判ったけれど、直後に強烈な横揺れが十分以上続くとは思いもしなかった。
防振構造のSEM鏡筒が派手にガコガコ音を立ててブンブン暴れるのを必死で押さえていたのを
思い出します。振動に弱い精密機器ではあったけれど、何処も壊れなかったのは幸いでした。
といっても、その後1ヶ月くらいはまともな分析依頼はなくてほとんど稼働することも無かったですが。
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