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2017年5月15日 (月曜日)

第91呟【リチウムイオン電池パックを分解する⑯】

 先日、大量ゲットした大容量なリチウムイオン電池パックをバラしておきましたので報告です。SoftBank製のWiFiルーターでPocketWiFi303ZTに使う専用電池パック、ZEBAU1という型番の3.8V2700mAhな容量を持つものです。

Img_12172 縦47×横80×厚5.5mmと大判で薄い電池パックなのですが、この大きさで2700mAhもの容量を誇るとはビックリ。

Img_12202 外装が硬かったのでいつものアルミ深絞り外装缶だとばかり思っていましたが、意外にも0.1mm厚の鋼板カバーが覆っているという構造に再びビックリでした。セルの両面に被せた2枚の鋼板をサイドで重ね合わせてスポット溶接していましたので、工具を使ってバラすのにも一苦労です。

Img_12182 ではなぜそんな硬い外装になっていたかというと、正体は中身がリチウムポリマー電池だったからでした。なるほど、頑丈な鋼板でカバーされていればネットで良く見るヤキモチの様にプックリ膨らむことはないですね。自力で殻割破壊しているスマホの痛々しい写真をよく見ますけど、この電池パックを使ったならそういうことも起きないはずです。

Img_12222 型番がマーキングされていましたので読んでみますと・・・・・「PGF494776HT」と判ります。「PGF」はメーカー名を表しているはずで、これは何処の子なんでしょうか。それに続く数字の「494776」はセルの寸法を示しており、厚み4.9mm、縦47mm、横76ということになっていて、ズバリその大きさになっています。

Img_12212 過充放電制御基板もちゃんと付いています。中央部に制御ICと思しきフリップチップが乗っており、その横の黒い6ピンSMDはMOSFETと推測しますが、詳細は全く判りません。

Img_12233 実は、鋼板カバーを剥がす作業でリチウムポリマー電池のポリ外装に傷を付けてしまったらしく、カーボネート系溶媒の気持ちいい香りがしたから間違いなく穴開けちゃったっぽい。こうなるともう危なっかしくて使う気はしないから思い切って最後までバラしてみることに。
 タイプとしては、幾つもの極板を積み重ねた積層型ではなくて、グルグル巻いてある簀巻き型でした。電圧が3.6Vほどあったのでカッターの刃でショートしてみると火花が飛んで溶接されるくらいだったから容量残ってるらしく、分解中に火を噴く可能性を考えて台所の流しで水に晒しながらの作業でした。簀巻きの本体は銅箔とアルミ箔が主体で、それを隔てるセパレータフィルムのほか真っ黒な電解質が極薄に塗布されているだけ。それにしてもこんなに電解質少なかったのかと驚きを隠せません、というのもニッケル水素電池だと相当厚く塗布されていてズッシリ重かったのに比較してこの少なさだから。バラしてみて初めてリチウムイオン電池の軽量な理由が良く判りました。

※分解は各人の判断にて行い、それによって生じる責任を負うこともお忘れなく。

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コメント

> カーボネート系溶媒の気持ちいい香りがしたから間違いなく穴開けちゃったっぽい。

私が250mAhリポ充電池を傷つけてしまった時と同じです。
完全解体はせずそのままポリ袋に入れておきましたが、今では起電力ゼロです。

メーカー品はきちんと「過充放電制御基板」が付いているのですね。

<( '-') 注意していたつもりだったのですが・・・やっちゃいました。気密性が失われるとカーボネート溶媒が容易に揮発してしまい、電解質が干からびてダメになる様です。

 たくさん買ってしまったこのセル、あと11枚残っているので何とか使いこなしたいです。

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