角型9Vニッケル水素電池MR250Fは、φ7mmの単セルを7本直列接続した組み電池構造をしていますが、分解記事 を書いてから使い道を持て余しておりました。ところが、それを効率的に組み込めるサイズピッタリなパイプを入手出来たので、スリムロッドなLEDライトを作る計画を発動、4ヶ月間放置してやっと完成しました。
何だか太さφ8mmで長さ117mmのパイプにしか見えないシロモノですけど、これ、ちゃんとしたLEDライトなんですよぉ。
先っちょを見るとレンズっぽいものが顔を覗かせていますね、もしかしてここが光るんですか?
お尻の方を見てみるとローレット飾りネジが嵌っていて・・・、これは、ここを捩じる様になっているという訳ですね!
おお!捩じったら光った!! こんな細いのにこれホントLEDライトなんですね、一体どんな電池を使っているのやら。
試しに5cm上から照射してみますと半値角は径6cmくらいで、照度値は12000Lux@5cmくらい出てるっぽい。なんせ鉛筆と同じくらいの太さだから、これは口に咥えたり耳に挟んだりしてハンドリングフリーな使い道が出来るネ。
~これより製作編(最も重要なLED発光ユニットに関しては最後に記載)~~~~~~~~~~~
電脳グッズ屋あきばおーの店先で、いかにも良い感じがする多段ロッドを使った『伸びるまごの手』という品(定価¥180)を見つけ、早速に本来の用途に使うまもなく分解してみたら上の様な感じでした。
5段ロッド部分は外径φ5mmからφ9mmまで1mm置きのステンレスパイプから成り、長さは概ね100mmの利用可能部分があります。試しに角型9Vニッケル水素電池をバラして取り出したφ7mmのMR250F単セルを入れてみるとφ8mmパイプにピッタリで、φ8.4mmのAAAA単6形ニッケル水素電池の場合は被覆を剥がして漸くφ9mmパイプに入ることが判明しました。
φ8mmパイプに収納するためのLEDを探していたのですが既製品では良いものが見つからなかったので、仕方なしに新しく作ることにしました。タネとなったLEDはφ10mm砲弾型(¥50/個)で、これの先端部分を削り出して造ったレンズが写真左側のものです。
100mA程度電流が流せてそれなりに白くて明るいLP-AWME56F1Aの先端部分へ、削り出して造ったレンズをシアノアクリレート系瞬間接着剤で取り付けたシロモノが上図です。LP-AWME56F1Aだけをφ8mmパイプに入れても照射パターンが広角すぎて光が分散してしまうため、どうしてもレンズで集光したかったんですっ。
それでこのレンズ付LP-AWME56F1Aをφ8mmパイプに入れてみたところが上図。絞り加工の施してあるパイプ先端に上手くレンズ曲面がフィットしてくれていて想像以上の仕上がりです。
どうやってφ10mmLED砲弾型の樹脂レンズ部分からφ7.5mmレンズを作ったかを示す加工工程図を上記に示します。トルクのある模型用モーター(秋月電子RS-385PH-4045)のφ2.3mm軸先端へ、削り出す対象を上手く取り付けるのがポイントです。詳細工程を以下に列記します。
イ) φ10mm砲弾型の樹脂レンズ部分を切断
ロ) 端面の中心にφ2.5mmでドリル穴を深さ2~3mm開ける
ハ) 瞬間接着剤を多めに塗布してモーター軸を挿入、固まるまでの時間で中心位置を合わせる
ニ) 固まりかけてきたら硬化スプレーを吹き付けて接着固定する
ホ) カッター刃を利用して外径がφ8mmくらいになるまで荒削り
ヘ) 実際にφ8mmパイプへ入る様になるまでサンドペーパーで仕上げ研磨
ト) モーター軸から取り外して取り付け穴部分を切り捨てる
チ) 端面を仕上げ研磨して完成
こうやって作ったレンズへ、先端を平らに削ったLP-AWME56F1Aを瞬間接着してレンズ付LEDは完成しました。MR250F単セルは2本直列に入れることにして後は昇圧回路とスイッチをどうするか考えねばなりません。コンバータは幾種類も選択の幅があるのですが、スイッチに関してはどうしたらいいのでしょうか、φ8mmに入る様なオルタネート式スイッチは見たことないし、単純にタクトスイッチにするという手もありますけど、マイコン式ワンプッシュオペレートスイッチはまだ開発出来てないし・・・・・、さてどーしよー。
あれこれアイデアを練っていたら、スイッチの組込み方に良い方法を思いつきました。これは他ライトで使おうと思っていたネタなのですけど、今回のスリムロッドLEDライトには最適な感じがします。筒底に設けたネジを締め込めば電池先端に取り付けた小型タクトスイッチを電池ごと押してくれる仕組みです。組み込みスペースの制約で接点容量の小さなスイッチしか使えませんけど、昇圧回路の動作を制御するコントロール端子のON/OFFに用いることで、電池からLEDに至る大電流ラインを直結にすることが可能となり、接触抵抗による電圧降下やジュール発熱を押さえ込めると考えた訳です。
さらに後日、わざわざタクトスイッチを組み込まずとも代案として、電池と接点との間にシリコンOリングを挿入し間隙を設けてスイッチ代わりにするアイデアを使ってみることに。
シリコンゴムではなかったですけど、ちょうどサイズの合うOリングを水道関連の補修用パーツコーナーで見つけました。内径φ3.8mmで外径φ7.6mmなシロモノでホントにピッタリ。
早速にφ8mmロッドに入れてみるとドンピシャで、これ以上の親和性はあり得ないというぐらいピッタリでした。もし難点があるとすれば、固めなゴム素材なので接触圧力を可成り掛けないと変形してくれなさそうなことでしょうか。
電源ON/OFFに小型タクトスイッチを使った第一次製造計画案へ少々変更を加え、第二次計画案ではスイッチのあった場所にゴム製Oリングを配置すると昇圧回路の設置空間がちょっと拡大しますから、回路選定に多少の余裕を持たせられるというものです。
テール側の加工パーツを見てみましょう。電池を押し込むためのM3ローレット飾りネジを支える黒いパーツは、ベークライト製のφ8mmスペーサーを加工したものです。そして電池マイナス極とステンレスパイプとの通電を取るために丸型銅プレートを入れておくのがミソ。ベークライト製スペーサー加工品をステンレスパイプに止めるためM2の短ネジを一本使っており、この部分が少し出っ張ってしまうのが難点かな。
LED発光ユニットとスイッチ用Oリングの様子。インダクターコイルの底にハンダでプラス極を形成しておき、Oリングを挟んでMR250F単セルの正極とを通電を取ることで電源スイッチとします。こうすればタクトスイッチを使わなくてもOK、ただでさえ少ない組み込みスペースを有効に使えます。
一番苦労したLED発光ユニットの様子。昇圧回路は定電圧制御方式のEMH7601を使ってます。インダクターコイルは22μHのラジアル形を外装引ん剥いて使っているのですが、コア径がφ7.8もあるのでφ8mmステンレスパイプの内径ギリギリだったのは幸いでした。もっと小型なコイルもあるのですが、今回のこれがあまりにもピッタリ過ぎて使わないのは申し訳ないとか思って。あと定電圧FB設定用の分圧抵抗は、以前VR100kΩを使って上手く行かなかった経験があったのですが、今回問題なく使えたことをお伝えしておきます。
設定ではLP-AWME56F1Aへ、充電直後の1.4V+1.4V=2.8V時に150mA、放電末期の0.9V+0.9V=1.8V時に100mA流れていることを確認しています。EMH7601の性能的には2.8Vあれば500mA流せますけど間違いなくLED焼けちゃいますんで絞ってあるという訳です。
この大きさに収まる昇圧回路を組むため、チップのEMH7601が2個も犠牲になりました。今回はピッチ変換基板なんて使ってる余裕さえないので嫌だったけれど空中配線にしたら2回も端子折れをやっちゃったんです。あ~、だからイヤだって言ったのにぃ~。
※分解と改造は各人の判断にて行い、それによって生じる責任を負うこともお忘れなく。
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