LEDライト改造で知りたい情報(2017/8/30追記:ワンクリック電源ON/OFF回路の検討)
100均LEDライト改造で電池1~2本(1.5V~3V)を使って白色LEDを点灯したい時は、 お手頃なCL0117やCL0118B等の昇圧チップがあるので、これを上手く扱う情報を記載します。
また、すぐに焼けてしまうスイッチの代わりにFETスイッチを導入する方法とか、CL0118Bを使って定電流制御が可能かどうか勘考した結果も記載。さらに同系統な昇圧チップであるCX2601に加え、新たにYX8113の検証情報も記事全体の真ん中辺りに記載。
小さなタクトスイッチを使って大電流ハイパワーLEDの点灯ON/OFFをコントロールする回路については最後の方に追記しておきました。
フリスクLEDライト?(⇒フリスクライトNo.1とかフリスクライトNo.2とかフリスクライトNo.3とか)
上図は47μHを使う最も標準的なCL0117回路で、コンバーターチップとインダクターの二つだけで白色LEDを点灯できるシンプルな使い方。
上図の液晶画面はLEDの両端に掛かる電圧を計測したもので、パルス波形になってます。ピーク最大で5Vの電圧がLEDに掛かっていたり、120kHz前後で発振している様子が読み取れ、高速で点滅しているけれども人間の目には判らないだけです。
シリカ「珍しい槍?見つけちゃいました。これでランサーにジョブチェンジ?」
(できません) from 『ソードアート・オンライン』
シリカの見つけた槍?はSBD(ショットキーバリアダオイード)で、整流時の電圧降下が低く、電池一本1.5V回路ではとても役に立つシロモノ。このPANJITのSBM1045VSSは1.5A流れた時の電圧降下が0.3V以内でとても小さい(一般シリコンダイオードでは0.6V以上食われるネ)。 上図はCL0117標準回路にちょっと細工してSBM1045VSSと47μF積層チップコンデンサーとを組み合わせた整流回路追加バージョン。
早速、SBDとコンデンサーによる整流素子を組み合わせた回路でLEDの両端電圧を計測してみると、整流後は綺麗な直流波形となりLEDにはコンスタントに3Vが掛かっている(CREEチップXP-G使用でVf値2.95Vのもの)。
上図はCL0117標準回路へSBDとコンデンサーによる整流素子を組み合わせた回路において、白色LEDに流れる電流値をまとめたもの。組み合わせるインダクター最適値を探るべく3.3~100μHから8点、LEDは3Wと5Wの2種類(Vf値が異なる)を選定し比較プロットしてある。なお電源は電池ではなく定電圧電源を利用、1.3V及び1.5Vを入力した時の電圧依存性についてもプロットしておいた。
さらに詳しくLED電流値のピークを探るためインダクターを22μH、33μH、47μHに絞り込んで測定し直した。
◆グラフから読み取れるインダクター最適条件は以下の通り。
1.入力電圧には依存せず20~30μH前後に電流値のピークがある(再検証済み)。
2.E6系列であれば22μH,33μHを選択するのが妥当か。
上図のデータは同メーカー同タイプのインダクターにおける吟味で、個々の直流抵抗値(Rdc)の影響は加味していないことが疑問。そこで次は回路標準47μHのインダクターで様々な形状のもの、トロイダル型、アキシャル型、ラジアル型、パワーチップ型等を探し出し、直流抵抗値(Rdc)の異なる場合で測り直した。
47μHのインダクターに絞って直流抵抗値(Rdc)の異なる色々な形状のタイプを組み合わせた時のLED電流値比較。
さらに、インダクターを22~33μHの範囲内で形状や直流抵抗値(Rdc)の異なる様々なタイプを試してプロットしてみた。
◆上図より読み取れるLED電流に与える影響は以下の通り。
1.インダクターの直流抵抗値(Rdc)は低いものほどLED電流を流せる
2.比較的に高いLED電流値を吐出したのはRdc=0.03Ω前後のトロイダル型と
パワーチップ型で効率の良さが伺える
3.アキシャル型は小型化には有利だが、傾向的に電流値は低い
4.LED電流の示す傾向は入力電圧に依存しない。
※しかしながらいくら効率が良くてもトロイダル型や大型パワーチップは、LEDライトに組み込み
スペースが無ければどうにもならない。組込スペースを勘案しながらラジアル型を選択する
のが妥当だろう。
【測定結果に対する懸念事項とその対応について】
懸念1 以前の測定では、デジタルテスターの200mAレンジを使っているため比較的に高い
シャント抵抗の影響を強く受けており、全体的に電流値が低めに出ていた。
改善⇒回路に電流測定用精密級20mΩシャント抵抗を入れ200mVレンジで再計測した。
懸念2 以前の測定では、回路検証と電流計測をブレッドボードの仮配線で行っていたため、
接触抵抗の影響を受けまくっており、これも電流値を低く見積もる結果となっていた。
改善⇒回路は空中配線で全てハンダ付けを実施、接触抵抗による電圧降下を完全に無くして
再計測した。結果大幅に電流値の向上したデータを得た。
懸念3 CL0117標準回路における整流していないパルス電流は正確に測れない。
⇒数値そのものを吟味するのは意味がなく傾向を掴む程度の認識に留める。
懸念4 すべてのSBDの電圧降下が低い訳では無い。
⇒仕様書の電気的特性をチェックして選定することが重要。
※今回使ったSBD(SBM1045VSS)は、秋月電子通商で手に入るSBDの
中でも極めて電圧降下が低いタイプで・・・といってもかなり巨大なのではあるが。
改善4 何十種類ものSBDを取り揃えて比較検討してみた。
⇒結果は、この記事の真ん中あたりにまとめておいたので参照のこと。
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【2014/3/3追記補足事項】
CL0117にSBDとコンデンサーとを併用した回路で、LEDを外した無負荷状態での電圧を測ってみたら11V出ていることを確認した。もちろん波形は綺麗な直流。コンデンサーの耐圧が6.3Vなので無負荷状態で回路を駆動するのは止めた方が良さそう。普段はLEDを繋いで3V前後が掛かる状態なので問題はないが。
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【SBDの大きさに関する小ネタ】
シリカ「ピナったらまた齧っちゃって・・・でもこんなところに結晶アイテム見つけちゃいました。」
(ピナご苦労) from 『ソードアート・オンライン』
SBM1045VSSは極めてVf値の低いSBDだが、樹脂モールドは巨大でLEDライトに易々と組み込める様なシロモノではない。そこでシリカの使い魔小竜ピナに頑張ってもらって封止樹脂を齧ってもらった?ところ、上図の様な構造が出てきた。まさか四角く切断したシリコンウエハーをそのまま挟み込んでいるとは。 リズベット「結晶?鉱石?槍の中央部に埋め込んであるなんて。剣の材料に使えるかしら~」
(キリトのため?) from 『ソードアート・オンライン』
シリコンチップを挟んでいるフランジ部分が銅色をしているのは樹脂封止してあった部分で、ハンダめっきの乗ってない所。この部分で切断すれば、組込にも困らない超小型化が可能に。でもリズベットに頼んで加工してもらったりすると剣になって戻ってきそうなので自己責任で処理すべし。 アスナ「この石板って、もしかして・・・。さて、キリトくんはどこかな~」
(逃げろキリト) from 『ソードアート・オンライン』
アスナが右手に持っている黒い石板は、SBM1045VSSとほぼ同性能なSBDで、こちらは表面実装SMTタイプの超小型な製品。 SBR15U50SP5は4×5mmと小型で薄く、組み込みに困らない大きさ。値段は倍もするけど、ピナに齧ってもらうとか、リズベットに加工賃が払えないプレーヤーには良い選択肢かと・・・。(後日追記で最適SBD検証結果あり→すぐ下を参照)
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【2014/4/16追記:CL0117に組み合わせる最適SBD検証】
CL0117改良回路に組み合わせるSBDで、比較的簡単に入手可能な20種類について比較検証した。上図は外部定電圧1.5Vを電源として入力した時の、CREEチップXP-G(5W)に流れるLED電流を測定したもの。なお、Vf値はIf=500mA時のカタログ値を記載したもので、実際の測定回路におけるSBD両端電圧ではない。
結果、Vf値の低いSBDほどLED電流は大きくなる傾向にあるが、全て140mA前後でほとんど差異は無かった。巨大モールドのアキシャルタイプSBM1045VSSでなくとも、小径モールドのアキシャルタイプ1S4と同等のLED電流になっている。さらに、米粒ゴマ粒大なチップSBDでも大差無かった。はぁ、これならわざわざ大きくて高いSBDで殻割りなどしなくても良かった・・・・・。(ピナ、今までホントご苦労様・・・・・あっ痛い痛い、ヤメロ齧るな・・・)
20種類のSBDはそれぞれVf順方向電圧降下、耐電圧、最大電流、端子間容量が様々に異なっているはず、でも結果のLED電流はほとんど同じ。それならばと、一般シリコンダイオードを繋いでみると・・・ヲヲッ暗すぎて使い物にならない。シリコン型じゃなくてショットキー系なら何でもいい? そう思って無意味だが二つ直列に繋いでみたら大幅に特性差が出た。Vf値の小さなSBDだと低下したLED電流は数mA程度だったのに比べて、Vf値の大きなSBDでは数十mA落ちたので、確かにVf値は低いに越したことは無い。試しにSBDを二つ並列に繋いでみると数mA程度のプラスマイナスが種類によって発生するが、これは容量性負荷の違いが出る様だ。
結論⇒SBDは耐圧40Vで最大1A程度の製品、米粒とかゴマ粒大のチップ品で十分。
Vf値をやたら気にして、高価で巨大なSBDを殻割までして使う必要はなさそう。
疑問⇒『Vfが変わると、電源側電流とか効率とかが変化しているんじゃない?』
課題⇒確かに。今回は計測していないので何とも・・・。まだ検証の余地あり。
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【2014/8/19追記:CL0117におけるVDD端子の新しい接続方法検証】
CL0117にSBDとCとからなる整流素子を併用してLED電流を稼ぐ方法においてCREEチップXP-Gを駆動した場合、1.5V電源入力時では従来145mA止まりだったものが、VDD端子の接続先を標準方法の電源+ではなくSBDのカソード、すなわち昇圧出力先に付け替えることで約3割増しの200mAまで向上することを確認した。接続変更詳細は以下の図を参照。
CL0117は昇圧出力の定電圧制御や定電流制御を行っていないので、電源電圧が下がるとそれによって昇圧電圧も下がってしまう。CL0117自身が動作するための電源入力であるVDD端子において、ここに掛かる電圧をコントロールすれば昇圧出力を制御できるのではないかと考え、コンスタントに3V前後を吐き出す昇圧後の電圧を掛けてみたところ上図の様にLED電流が増すことを確認できた。
グラフではCREEチップのXP-GランクR4とXM-L2ランクU21A、OptoSuppry製のOSW4XME3C1S、エルパラ専用品番のLP-AWME56F1Aをそれぞれ接続した場合におけるLED電流値を比較記載した。これを見るとVf値の低いLEDほど電流を流せることが判る。
VDD端子における新しい接続方法を検証する場合において重要な注意点がある。CL0117にSBDとCとからなる整流素子を併用した回路は、出力にLED等を繋がない無負荷状態では11V前後の昇圧電圧を発生しており、この状態でVDD端子を新しい接続先のSBDカソードに繋ぐとVDD端子の入力定格を超えるためか一瞬で破壊してしまう(既に6個潰したし)。なので必ずLEDを繋いでおいて最大でも3~4V前後が掛かっている状態での接続を勧める。
※この検証結果について自分でも試してみたいと考えた方々へ。 くれぐれもブレッドボード等の仮配線で試さないこと。1.5~3Vの低電圧回路といっても、電流は下手すれば0.5~1Aも流れる大電流回路なので、 ちょっとした接触不良による電圧降下の影響が致命的になる。当方も過去にブレッドボード仮配線でデータ安定せずに悩んだ経緯あってもう懲り懲り。ユニバー サル基板使って配線組んでもいいが、最低でもオールハンダ付けの空中配線で試すことを勧める。
※もう一点付け加えておくが、LED電流値を測る際にくれぐれ もテスターの200mA電流測定レンジを使わないこと。理由はテスター内部測定回路上に数Ω前後の高いシャント抵抗を挿入している関係で、そこでの電圧降 下が致命的になるから。微小シャント抵抗内蔵の10Aレンジがあるならそれに越したことはないが、1A以下の数値を正しく読めない可能性がある。当方で は、精密級10mΩのチップ抵抗をLED配線に挿入してその両端電圧を±200mVのデジタル電圧計で読み取っている。これなら仮に1A流れたとしても 0.01Vの電圧降下に留まるから影響を極力抑えることができる。
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【2014/10/05更新:CL0118Bにおける最適インダクター検証およびVDD端子の新しい接続方法検証】
(データに各社LEDでの特性データ追加)
1.5V電池2本を使った白色LED駆動用の昇圧回路は、標準的な使い方では上図のようにCL0118Bと47μHのインダクターを使った簡単な回路。
一般的な標準回路にちょっと細工を施してSBDとコンデンサーとを追加し、パルス電流を整流してLEDに投入することにより発光効率が上がらないか検討してみる。
上図は、CL0118BにSBDとコンデンサーとによる整流素子を組み込んだ回路で、インダクターのμH値がLED電流にどれほどの影響を与えるか測定してみたもの。22~47μHの範囲で広いピークを示し、LED電流は350mA程度流れていることが判った。このことからピーク中心部に位置する33μHあたりを使えば最も効率は良さそうである。
インダクターのRdc(直流抵抗値)も重要なファクターなので、Rdc値の異なる様々なタイプの47μHインダクターについて、LED電流がどの様な影響を受けるか試してみたところ、抵抗値の低いものほどLED電流値が流れる傾向で、これはCL0117検証時と同じ特性。アキシャル型は小型で組み込みが楽だけれどもLED電流は低く、ラジアル型やパワーチップ型、トロイダル型は比較的に高いLED電流を流すことが出来るけれどもコアの大きさが問題になってくるから、そのあたりは組み込みスペースとの兼ね合いでよりよいものを選択すればいい。
CL0118Bに最適インダクターの33μHと、PANJITのSBD(1S4)と47μFのコンデンサーによる整流部を組み合わせた回路において、さらにVDD端子の接続先の影響を調査してみた。これは先のCL0117検証時と同じ接続構成がCL0118Bでも有効かどうかを見極めるためのもの。
上図は、CL0118BのVDD端子接続先を標準的な電源+に接続した場合でLED流がどの様な影響を受けるかを計測したもの。CL0117検証時の場合と同様、電源電圧に比例してLED電流も直線的に変化するという結果を得た。
なお、エルパラ製LP-AWME56F1Aは単独使用の場合、電源電圧は2.0Vあれば120mAのLED電流を確保できるが、それ以上の入力電圧ではオーバードライブになるので注意。また3本パラレルで使用した場合はCREEチップXM-L2ランクU21Aとほぼ同等の特性を示すが、発熱量に関しては異なる挙動を示す。XM-L2だとそこそこの発熱があって放熱板が熱くなるけれども、LP-AWME56F1Aではほとんど発熱が無い。これは組み込み先の放熱対策を打たなくても使えるということだから誠に都合が良い。
上図は、CL0118BのVDD端子接続先をSBDのカソードへ繋ぐ(昇圧整流後の電圧を掛ける)場合において、メーカー各社別のLED電流がどの様な影響を受けるか計測したもので、CL0117で検証した場合とは少し違った特性を示すことが判った。
電源+に接続する標準の繋ぎ方だと電源電圧に比例してLED電流も直線的に変化するが、SBDカソードに繋ぐ方法だと2.4Vまでは直線関係を示すものの、それ以上の電圧領域では頭打ちに
なって伸びなくなるタイプが存在しており、Vf値の低い(大概は3V以下の)LEDでこの傾向が強い。オプトサプライ製LEDが影響を受けにくいのは、恐らく比較的高いVf値に要因があるものと考える。
しかしながらこの頭打ち特性はむしろ歓迎すべきもの。なぜなら電池電圧が新品の3.2Vから使い込んでいって
2.6Vまで落ちてもLED電流の変化は少なくて光量が安定しているということだから。一つ気懸かりなことがあるとすれば、電源電圧が3.2Vある時のXM-L2ではLED電流が急増していること。3.1Vまで下がれば落ち着くのだけれど、実際の電池駆動時には一瞬で電圧が下がるだろうから、そんなに気にしなくても良いかも。
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【2014/11/25更新:CL0117を並列に接続した時のLED電流値検証】
上図の回路は、CL0117に整流用のSBDとCとを併用する回路において、さらにCL0117自身を2個並列に接続したもの。内蔵FETの駆動力を単純に増強できる可能性を確かめてみる。入力電圧に対するCREEチップXP-GランクR4の出力LED電流は後に示すグラフへまとめてプロットしておくので参照のこと。
上図の回路はCL0117に整流用のSBDとCとを併用しつつ、VDD端子をSBDのカソードに接続する特殊な使い方において、さらにCL0117を2個並列に接続した場合の効果を検証するもの。入力電圧に対する出力LED電流値を後のグラフにプロットしておく。
上図の回路はCL0117からインダクターコイルを経てSBDに至るまでの回路を並列に接続したもの。こちらも入力電圧に対するLED出力電流値をプロットするので後に示すグラフを参照のこと。
上図の回路はCL0117からインダクターコイル、SBDまでの回路を並列に接続しつつ、さらにVDD端子の接続先をそれぞれのSBDカソードに繋いだ改良型回路。
以上、4系統の回路接続方法におけるLED出力電流値の比較グラフを下図へ一つにまとめて見比べてみる。
【◯】でプロットしているのはCL0117を一つだけ使ったシングル回路における状況を示すもの。
【△】でプロットしているのはCL0117のみを単純に並列接続したパラレル回路における状況を示すもの。
【◇】でプロットしているのはCL0117、インダクターコイル、SBDまでの主要回路を並列接続したもの。
単純にCL0117の素子だけを並列に接続した場合では5割増しの150%程度にLED電流が増加していく傾向を認めることができる。そしてCL0117を素子のみではなく主要な昇圧回路とともに並列接続した場合ではほぼ10割増しの200%程度までLED電流は増加することを確認できた。なお、1.5V入力時においてLED電流が380mA流れている時の電池側電流は1165mAを確認している。
※再度忠告。
※この検証結果について自分でも試してみたいと考えた方々へ。 くれぐれもブレッドボード等の仮配線で試さないこと。1.5~3Vの低電圧回路といっても、電流は下手すれば0.5~1Aも流れる大電流回路なので、 ちょっとした接触不良による電圧降下の影響が致命的になる。当方も過去にブレッドボード仮配線でデータ安定せずに悩んだ経緯あってもう懲り懲り。ユニバー サル基板使って配線組んでもいいが、最低でもオールハンダ付けの空中配線で試すことを勧める。
※もう一点付け加えておくが、LED電流値を測る際にくれぐれ もテスターの200mA電流測定レンジを使わないこと。理由はテスター内部測定回路上に数Ω前後の高いシャント抵抗を挿入している関係で、そこでの電圧降 下が致命的になるから。微小シャント抵抗内蔵の10Aレンジがあるならそれに越したことはないが、1A以下の数値を正しく読めない可能性がある。当方で は、精密級10mΩのチップ抵抗をLED配線に挿入してその両端電圧を±200mVのデジタル電圧計で読み取っている。これなら仮に1A流れたとしても 0.01Vの電圧降下に留まるから影響を極力抑えることができる。
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【2015/3/18追記:CL0117およびCL0118BへのFETスイッチ搭載検証】
CL0117にSBDとCとを併用した改良回路において電池の前後にスイッチを設けるのは一般的だが、電流は赤線で示したパワーライン上で0.5A近く流れるため接点容量の低いタイプを使っていると直ぐに焼けて接触不良を起こすことになる。LEDライトに組み込めるスイッチの大きさには制約があって小型なものを使ったりしていると、いずれ接触がおかしくなって使い物にならなくなる。
そこで、小型なスイッチを使える様にするため別なスイッチング素子を新たに搭載しようと考えた。ゲート駆動電圧の低いPchのMOSFETであるDMG3415Uを突っ込んでみたけれど、流石に電源1.5V系では不足気味で十分な導通状態とはならず、LEDは点灯するけれどそれなりに暗くて使えない。ちなみにFETスイッチの位置はハイサイド。
FETスイッチには先に提示したハイサイドの他にローサイドもあるので試してみた。ゲート駆動電圧の低いNchのMOSFETであるIRLML6344TRPBFTRを突っ込んでみたけれども、こちらも駆動電圧不足で不完全導通、LED点灯しても暗くて使い物にならない。
それなら駆動電圧をどうにかすればいい話なので、昇圧整流後のLED電圧が2.9V前後あるからそれをゲートに注入してみると、予想外に上手くいってFETスイッチとしてちゃんと動作する!
この回路、本当に動くのか?と懐疑的になるのは当然で、FETが導通もしていないのに昇圧整流後の電圧が先に出ている訳ない、と思ったのだけれど実際に回路を組んでみると、インダクターとSBDとを貫通してくる僅かな電圧で少しでもFETが通電すると昇圧動作が始まり、あとは連鎖的にゲート駆動電圧が増えて完全導通状態になるらしい。
インダクターとSBDとを貫通してくる電圧に気付いたことで思い付いたのは、CL0117のVDD端子をスイッチングする方法でこれも予想外に上手くいった。貫通電圧が1.5V以下なのでLEDは点灯すること無く、昇圧動作さえしなければ赤線で示したパワーラインを直結していても問題ない。しかも、VDD端子はほとんど電流が流れないので電流容量の小さなスイッチを使えるという利点もある。
CL0117での考察に引き続いて3V電源系のCL0118Bでも検証してみる。上図は赤線で示したパワーライン上にスイッチを設ける一般的な回路で、こちらも電流は0.5A近く流れるため接点容量に余裕のあるスイッチを選定しなければならず、小型なものでは長持ちせず実用にならない。
電源が3VあるのでFETを駆動するゲート電圧の確保に事欠かない。PchのMOSFET、DMG3415Uを使ったハイサイドスイッチの回路は既に改造報告NO.14にて実証済みであり、毎日の様に使っているけれど不具合なく実用的。
こちらはFETにNchのIRLML6344TRPBFTRを使ったローサイドスイッチ回路で、同様になんら問題なく動作する。
いくら3V電源といっても電池電圧が落ちてくればゲート電圧も下がってくる訳で、2V以下まで放電してくるとFETの導通も影響を受ける。これを解消するにはゲート電圧の供給元を電池電圧ではなく、昇圧整流後の高い電圧にすればいい。上図はそんな回路ではあるけれど、FETが導通していなければ出てこない昇圧整流電圧をいくらゲートに掛けたところでスイッチングするはずないと考えるのは普通。しかし、コイルとSBDとを貫通してくる電圧で僅かでもゲートが駆動できれば、あとは昇圧動作が始まって連鎖的にゲート電圧が増えるというカラクリ。
CL0118Bの3V電源系でもコイルとSBDとを貫通してくる電圧はあるので、CL0117の時と同じ様にVDD端子にスイッチを設けてみると、これは上手くいかないのである。何故なら電源電圧が2.3V以上あれば、昇圧動作していなくてもコイルとSBDとを貫通してくる電流でLEDが点灯してしまってスイッチOFFが出来ず常時点灯状態になってしまうから。VDD端子でスイッチコントロールする方法は、電源電圧の低いCL0117だから出来るワザだったということです。
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【2015/5/19追記:CL0118B定電流コントロール回路の検証】
電源3V系でCL0118Bをコンバーターに使った昇圧回路では、電源電圧の低下と共にLED電流が大幅に変動してしまうので明るさを一定に保つ ことは難しい。オペアンプを使ってLED電流値を監視しVDD端子にフィードバックする方法はあるけれども、そこまで本格的でなくても簡単な回路で似たよ うな特性が出せるかどうかを検討した。
上図は、検証用に作った回路。電源は1.5V電池×2本直列の3V式で、コンバーターにはCL0118Bを2回路並列で用いる。VDD端子には、半固定抵抗器で分圧した昇圧後の電圧を加えるのがミソ。ここへフィードバック用のトランジスターやFETを突っ込む回路も試したけれど、結果的には抵抗だけのほうがより良い特性を得た。
半固定抵抗器の値はVR500Ωを図示しているけれども、色々と試したらこれが最も効率的だった。昇圧後の電圧は大概3V前後掛かるから、 VR500Ωには6mAの電流が流れることになりこれは無駄になってしまうのだけれど、試しにVR5kΩにしてみると無効電流が減っても定電流特性は逆に悪化してしまうので。
上図はVDD端子に接続する半固定抵抗器の値が与える定電流特性への影響についてプロットしたもの。電源電圧が3~2Vと変動する中で、VR500Ωの時
ではLED電流値の変動が235~200mAの範囲に収まってる。VR1kΩでは245~200mAと若干悪化、VR5kΩになると320~200mA
と大きく変動し制御出来ていないことが判る。また、VR500Ω以下のものを用いた場合では、LED電流値の変動はさらに小さくなると予想出来るけれども、半固定抵抗器自身に流れる電流が6mA以上に増加するのは許容できないだろう。
今回の検証回路ではCL0118B昇圧回路を2並列接続しているけれども、これの意味は電源電圧2VでLED電流を最低でも200mA確保したかったからである。CL0118B単機駆動ではどう細工して頑張っても150mA止まりだけど、2並列接続するとVDD端子のフィードバックを外した時に 300mAまで出せる能力がある。ちなみにこのCL0118Bの2パラレル接続回路は、電源3V時でVDD端子フィードバック無しだと600mAを軽く超えてくるので、放熱設計していないXP-Gを駆動しようものなら焼損しかねないから注意が要る。
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【コンバーターチップに関する補足記載データ】
リーファ「鉄の爪?引っ掻かれたら痛そ~。お兄ちゃん、勝負しよっか!」
(逃げるなキリト) from 『ソードアート・オンライン』
直葉・・・じゃなかったリーファが両手に持ってるのは1.5V用コンバーターチップで、右手のSMTパッケージはAH6211、左手のTO-92パッケージはCL0117。CL0117は何処でも売っているけれど、AH6211は今のところaitendoでしか見たことがない。このAH6211の性能を評価した。
これよりも前に公開していたデータは、デジタルテスター200mA測定レンジにおける高抵抗の内蔵シャントと、ブレッドボード仮配線接触抵抗の影響があまりにも酷かったので、AH6211の本来の性能を見誤っていた。
この影響を排除するため全てハンダ付け結線とし新たに20mΩの電流測定用シャント抵抗を挿入してデジタルテスター200mVレンジで測定し直したところ、大幅にLED電流値が上昇する結果となった。標準仕様ではW数の高いLEDの場合、インダクターに5.6μHを選択するように記載してあり、確かに5μH前後にピークが出ている。
なお2016年8月20日に再検証を行い、AH6211のV+端子をSBDカソードに繋ぐやり方で最適インダクター値がどう変わるか、またどれくらいLED電流を流せるかを測定し直した。この結果についてはこれ以降の後ろの方に追記しておきましたので参照願います(現在、データ公開停止中)。
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【2015/7/10追記:CL0117類似CX2601改良回路検証結果】
1.5V系電源で白色LEDを点灯するときに用いる昇圧回路ではCL0117が一般的ですけど、他にはSMDでCX2601というチップがありま す。100均のLEDライトでグリーンオーナメント製の【BLT LED LIGHT】が搭載している昇圧回路は、このCX2601とアキシャル型インダクター10μHとを組み込んでおり至ってシンプルなのですが、そのままの状 態では低いLED電流しか流せず照度値はあまり期待できません。
そこでCL0117やCL0118Bにおける改良回路検証結果を応用しCX2601でも検討してみたところ、意外にもCL0117より性能の勝っている可能性が出てきました。
CX2601は写真の通り表面実装型のSMDチップで、もしも上手く使いこなせれば組み込みスペース的にも可成り有利となるはずです。
今まで検証してきたCL0117及びCL0118B改良回路と同様にして、コイル昇圧後のパルス電圧をSBDとCとで整流してからLEDに流してみます。
上図は、CX2601にSBDとCとからなる整流素子を併用した改良回路で、電源電圧を変化した場合にLED電流値がどんな影響を受けるかについて、昇圧コイルのインダクタンス別の依存性をプロットしたものです。
コイルを変えながら測ってみると、電源電圧1.5Vの時に、4.7μHを使った場合で150mAまでLED電流が向上するものの、0.9V放電終 止電圧近辺では10mA以下で全く改善していません。比較データとしてCL0117の場合を【▲】でプロットしてみると、良くも悪くもない同等な性能と言 えそうです。
次に、CL0117改良回路における検討と同様にして、CX2601自体の動作電源を電源+から取るのではなくて昇圧整流電圧から取るように組み替えて検証してみます。
上図は、CX2601にSBDとCとからなる整流素子を併用した改良回路で、さらにCX2601動作電源端子V+の接続先を電源+ではなく昇圧整流電圧す
なわちSBDカソードに繋いだ場合においてインダクターおよび電源電圧がLED電流に与える影響をプロットしたグラフです。
特筆すべきはインダクターコイルに2.2μHを使った場合で、電源電圧が1.5VあるとCREEチップXP-Gに280mAも流せるこ と。【▲】でプロットしたCL0117の場合ではどう扱っても200mA止まりでしたからこれは凄いです。さらに放電終止電圧の0.9Vまで下がっても 135mA流せるというのが これまた凄いことで、CL0117の場合だと電源電圧1.15Vで100mAを切りますから、明らかにCX2601の方が勝っているという結果でした。
ここで注意点があるとすれば電源電圧が低い場合、【■】でプロットした1.0μHが【●】でプロットした2.2μHよりも僅かに勝っている様に見 えるのですけど、電源電圧が1.2V以上になると過電流によるチップのサーマルプロテクト機能が働いてLED電流は頭打ちになってしまうのです。勿論ちゃ んと放熱できれば2.2μHよりもLED電流は稼げるでしょうれど、恐らくは発熱に回っているエネルギーが多くなって昇圧効率は悪化しているものと推測し ます。
2015年7月19日追記------------------------------------
上図は実際に100均LEDライト(改造報告No.16-4【BLT LED
LIGHT】改四式)へ組み込むことを前提としたCX2601改良昇圧回路で部品定数を最適化したものです。2.2μHはRdcが0.017Ωの太陽誘電
製LHLC08NB_2R2Mを、整流素子としてSBRダイオードのDIODES製SBR15U30SP5を選定しています。
この回路上で電源電圧に対するLED電流値の挙動を調べてみると、最初は整流素子に定番の1S4を考えていたのですけれど、パルスピーク電流値を考えてより耐性の高いSBR15U30SP5にしてみたら、予想通り特性は良くなりました。具体的には電源電圧1.5Vの時、1S4よりもSBR15U30SP5
では25mAほどLED電流値が向上してついに300mAを越えました。Ni-MH電池を使った場合、1.2V前後で推移する電池電圧領域では200mA
をLEDに供給出来そうです。
【2016/8/26データ追記:CL0117類似YX8113改良回路検証結果】
1.5V系の電源で白色LED使う時は昇圧回路を組み込みますけど、CL0117やCX2601などを今まで検証してきましたが、今回はグリーンオーナ メント製BLT LED LIGHTのOEM品として発売されたダイソー製LEDスリムライトをバラした時、CX2601の代わりにYX8113が使ってありましたのでこれを検証 してみることにしました。
YX8113は他の100均LEDライトにも使っていますが、SOT23で超小型なため組み込み応用先は広そうです。上図は昇圧パルス整流用SBDと平滑用コンデンサーとを足して、さらにV+電源端子をSBDカソードに繋ぐお馴染みな回路です。
上図はYX8113に組み合わせるインダクター最適値を探るべく、4.7~22μHのラジアル形を組み合わせてみた時のLED電流値をプロットしたもの
です。これによると、電源電圧が1.0V以下では4.7μHを使った方がより高いLED電流を流せますけれど、1.1V以上の領域では10μHに軍配が上
がります。ちなみに比較用としてCL0117の最適化回路時のデータをプロットしておきましたが、YX8113に分があるのは間違いなさそうです。
ひとまずインダクターは10μHあたりが良さそうと判ったので、φ7.8mmのLHLZ06NBシリーズよりRdcの低いφ9mmのLHLC08NBシ
リーズに取り換え、さらにSBDの種類を変えて影響を見てみたところ、SBDは当初の1S4よりもSBR15U50SP5を使った方が若干LED電流が増
える傾向にありました。この要因がインダクターのRdcによるものなのかSBDの特性なのかはまだ追い込めていません、追試が必要なようです。
※この検証結果について自分でも試してみたいと考えた方々へ。 くれぐれもブレッドボード等の仮配線で試さないこと。1.5~3Vの低電圧回路といっても、電流は下手すれば0.5~1Aも流れる大電流回路なので、 ちょっとした接触不良による電圧降下の影響が致命的になる。当方も過去にブレッドボード仮配線でデータ安定せずに悩んだ経緯あってもう懲り懲り。ユニバー サル基板使って配線組んでもいいが、最低でもオールハンダ付けの空中配線で試すことを勧める。
※もう一点付け加えておくが、LED電流値を測る際にくれぐれ もテスターの200mA電流測定レンジを使わないこと。理由はテスター内部測定回路上に数Ω前後の高いシャント抵抗を挿入している関係で、そこでの電圧降 下が致命的になるから。微小シャント抵抗内蔵の10Aレンジがあるならそれに越したことはないが、1A以下の数値を正しく読めない可能性がある。当方で は、精密級10mΩのチップ抵抗をLED配線に挿入してその両端電圧を±200mVのデジタル電圧計で読み取っている。これなら仮に1A流れたとしても 0.01Vの電圧降下に留まるから影響を極力抑えることができる。
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【2017年8月30データ追記:ワンクリック電源ON/OFF回路の検討】
100均LEDライト改造での苦労は、電源やLED、昇圧回路などのパワーアップしたものを作った当初は絶好調で使えていたのに、やがてチラチラし始めて点灯状態が不安定になることでしょうか。
この原因はズバリ電源スイッチの接点容量不足です。各パーツをパワーアップすると回路に流れる電流はそれに応じて大幅に増加しますが、それを見逃したまま従来のスイッチをそのまま使っていると、数十mA程度の接点容量しかない汎用品に500mA~1Aも流すことになってしまい、やがて接点が焼けて接触不良を起こすのです。(→そういうものを幾つも作ってきました。)
この不具合を防ぐには、電流容量に見合った電源スイッチへ入れ換えれば済む話ですが、組み込み先に余裕のない100均LEDライトだと大きなスイッチは使えないし、見た目にもゴツくなって趣が削がれます。500mA以上の接点容量を持ったスライドスイッチやオルタネートスイッチで、気軽に100均LEDライトへ搭載できる超小型なタイプは見たことがありません。
それならどうするかというと、大電流の流れる電源ラインのON/OFFを機械的スイッチではなくてパワーMOSFETを使った半導体スイッチに置き換えるという作戦をとります。わずか数Vの制御信号を与えてやれば数Aクラスの電流をON/OFF出来る半導体スイッチはまさに打って付けと言えます。
例えば米粒サイズのPchMOSFETであるDMG3415Uは、1.8Vのゲート駆動電圧を与えてやれば数Aの電流をコントロール出来ます。そしてゲート駆動電流は数μAしか要らないので、これを制御するスイッチには電流容量を気にする必要の無いくらい超小型な機械的スイッチが使えるのです。
(応用先→改造報告No.14)
さて、電源ON/OFFに半導体スイッチを用いたとして使えるスイッチの種類はどんなものがあるかというと、2P接点以上のスライド形かオルタネート形ということになります。いくら接点容量を気にしなくても良いといってもこれらのスイッチはある程度の大きさがあるので、選定は組み込み先の空きスペース次第でありそこがネックとなります。
米粒以下の大きさで厚みが数mmもないタクトスイッチが使えればそんな問題とはオサラバなのでしょうけど、タクトスイッチは押している間だけしかONしないモーメンタリ動作品ですから、そういう用途向きにしか選定できません。クリック毎にON/OFFの切り替わるオルタネイト回路機構が簡単に手に入ればお誂え向きなのですが、実はあるんですねぇそんなモノが。
高輝度LEDライトのメーカー製高級機にはワンクリックでON/OFFできるものがあり、これにはタクトスイッチのクリックを感知して電源用パワーMOSFETをコントロールするマイコンチップが搭載されています。そしてそんな機能を持ったチップがなんと100均LEDライトの中にもあって、しかも簡単に取り出して転用出来るモノがあるのです。
~転用の一つ目~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これはグリーンオーナメント製のサイクルセーフティライトの基板。中央にある白色チップLEDのON/OFFを、頭が黒く塗られた白い”謎の”4端子モジュールがコントロールしています。二つある剥き出しな反転バネがタクトスイッチで、クリック毎に常時点灯、早点滅、遅点滅、消灯を繰り返します。
上図は、その”謎の”4端子モジュールを利用してタクトスイッチでワンクリックON/OFFが出来る様にしたLEDライトの回路です。モジュールのSW端子へGND接地パルスが入るとOUT端子がGNDに落ちてMOSFETがONとなります。いわゆるシンク出力なので、PchMOSFETを直接駆動できるのがいいですね。
上図の通りに回路を組むと、タクトスイッチをクリックするだけで電池からMOSFETを経てパワーLEDへは3Aもの電流が流れますが、タクトスイッチはこの大電流経路と関わっていないので焼ける心配はありません。ただし、ハイパワーLEDの方は放熱対策を施さないまま3Aも流せば簡単に焼損しちゃいますから、まともに上図を組んだらNGなので注意です。
それならハイパワーLEDが焼けない程度に電流制限を設けてやれば良いので、350mA定電流チップのAMC7135を使う方法にしたのが上図。”謎の”4端子モジュールはシンク出力なので、PNPトランジスターを噛ましてからAMC7135のVDD端子をコントロールしてやればいい。
これの応用→改造報告No.22-2
これの応用その②→フリスクLEDライトNo.3
~転用の二つ目~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これは同じくグリーンオーナメント製でLEDミニタッチライトの基板。中央にSOP23-5形の米粒マイコンが鎮座、3個並列にしたチップLEDの点灯をコントロールしており、基板左端にある超薄型タクトスイッチをクリックする度に単純な点灯/消灯を繰り返します。
上図はLEDミニタッチライトの回路図。こちらのマイコンモジュールもシンク出力となっており、PNPトランジスターを噛ましてチップLEDを駆動しています。SW端子がGNDへ落ちる度にOUT端子の出力がGNDとハイインピーダンスを行ったり来たりします。
このマイコンモジュールを転用したLEDライトの応用例。タクトスイッチのクリック毎にハイパワーLEDを350mA定電流で点灯/消灯します。
さらに応用例。LEDを定電流で駆動する場合、AMC7135だと350mAで固定されてしまいますが、NJW4616を用いるとセンス抵抗値次第で20mA~300mAまで調整可能です。上図では0.67Ωのセンス抵抗を挿入しており、300mA定電流設定となっています。
定電流設定値(mA) = 0.2(V) ÷ センス抵抗(Ω) (応用例リンク→改造報告No.23)
そしてさらに進化した応用例。1.2Vのニッケル水素電池を2本直列にした2.4V電源系で、昇圧回路の動作をマイコンチップでコントロールしつつ、ハイパワーLEDを点灯させるもの。タクトスイッチのクリックを感知したマイコンチップはOUT端子がシンク出力となりGNDに落ちますので、PchMOSFETのゲートが引き込まれてソース・ドレイン間が導通状態となり、後段の昇圧チップEMH7601が動作を開始、ハイパワーLEDを点灯させるという具合です。FB端子に繋がっているVR1MΩの調整次第ですが、最大580mAまでLED電流を流せる能力があります。
(応用リンク→充電用電池BOXのLEDライト化)
なお、この回路はニッケル水素電池が一本の時でも動作可能で、マイコンチップは1.2Vでも動作することを確かめています。PchMOSFETのゲート駆動電圧が不足気味かと思いますけれど、ソース・ドレイン電流は1Aも流せれば上等なので何とか大丈夫みたいです。ちなみにEMH7601は0.9Vでも昇圧動作可能であり、その入力電圧においてはLED電流が100mA取れるかどうかといったところです。
※分解と改造と応用は各人の判断にて行い、それによって生じる責任を負うこともお忘れなく。
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改造報告No.22-2_100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、CREEチップXP-G、Li-ion電池)
改造報告No.22-3_100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、LP-AWME54F1A)
改造報告No.22-4_100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、OSW47L5111Y)
改造報告No.23____100均LEDミニタッチライトの輝度アップ改造(NJW4616、オプトサプライ製ブルーLED搭載)
改造報告No.24___100均5LEDスタンドライトと電球型LEDライトとを合体融合(タッチセンサー搭載)
改造報告No.25___100均サイクルフラッシュライトの輝度アップ改造(OKL-T/3-W5N-C、CREEチップXP-G)
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第111呟__________100均タイマーライトのちょい改造(タイマー再始動用スイッチの追加)
【LEDライトの製造・改造、比較で気になる情報】
LEDライト改造で知りたい情報__ →CL0117、CL0118B、CX2601に[SBD+C]追加して最適化検証
LEDライト改造で知りたい照度比較__→100均ライト改造品および未改造品の照度測定比較
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