やらかした記憶・・・第42呟【銅ボールは凶器】
【銅ボールは凶器】
プリント配線基板用の硫酸銅めっきラインでは、定期的に銅陽極を引き抜いてアノードスラッジを洗浄する儀式がある。光沢剤成分が分解してできたスラッジはヨーグルト臭のする真っ黒なスライム。そして径が3~5cmもある含リン銅ボールがチタン製のアノード網ケースの中にゴロゴロと詰まっている。
めっき槽から液を抜いた後、一本あたり数十キロもある銅陽極を引き抜いていく。硫酸と過酸化水素とを混ぜた溶解液を張ったバットに、アノードケース中身の銅ボールをスライムと共にぶちまけて溶かしていく。スライムの主成分である酸化銅(Ⅰ)は、硫酸過酸化水素の溶解液で溶けて青色の硫酸銅(Ⅱ)に変わっていく。真っ黒だった銅ボールは綺麗なピンク色に戻り、後は苛性ソーダの中和液に浸した後、容器に積み上げていく。
この銅ボールの新品は5cmクラスのものだと立派な凶器になり得る。誤って足先に落とそうものなら確実に指の骨が折れる。ま、砲丸投げの玉と思えばいいのだろうけど。そして、これを誤ってめっき槽に落とそうものなら、FRP製の槽底には簡単に穴が空いてしまうから、足先に落とす以上に注意を要する。
銅ボールは溶けてだんだんと小さくなっていき、最終的には米粒以下の大きさになってスライムの一部と化す。その前の段階で1~2cm位になったら用済みとなり、集めて金属回収業者に引き取ってもらうのだけれど、これを裏取引にして自分の懐にしまい込んでいる担当者は少なくない・・・・・。
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