やらかした記憶・・・第45呟【シアン系分析サンプルの輸送】
【シアン系分析サンプルの輸送】
シアン系、いわゆる青化ソーダを使った処理剤というのはとても高性能なので、その毒性とは裏腹に多くのめっき屋で多用しているのが現状。だから、当然成分分析の依頼もたくさん来る。そしてこれらは郵送や宅配便でやってくる! 知らないかもしれないが、間違ってテロリストにでも渡ったら大変なことになるこれらの毒物は平然と一般流通荷物の中に紛れているのだ。でも送る場合は当然中身が何か判らない様にしているので、選択的に奪取することは不可能ではあるが。
あまり気持ちのいいことではないけれど、分析用サンプルがたくさんある場合は輸送費を押さえるために一括で送ることになり、酸でもアルカリでもそしてシアンであっても一つの段ボール箱に押し込めてやってくる。そしていざ開封してみると漏れているんだな、幾つかが。酸とアルカリが漏れているくらいなら段ボールがふやけている程度で済むけれど、シアンが漏れていたりすると酸系のサンプルがあった時に反応して青酸ガスが出てるから臭いで判る。
よく判っている業者は、分析用サンプル容器に中フタを嵌め外フタを閉めたらビニールテープでぐるぐる巻きにして、さらにビニール袋に入れてから送ってくれる。でも漏れることを判っていなかったり、緊急の場合にはこういった手間を省いてしまうので怖い。
シアン漏れを起こすサンプルは滅多にないけれど、反対に密封しすぎて容器のフタが跳ね飛ぶことは良く起こる。これは過酸化水素を成分に含むエッチング剤などで、輸送途中の振動と温度により過酸化水素の分解が促進し、発生した酸素ガスが逃げ場を失って内圧を上げているものだから、いざ分析しようとしてフタを外そうとすると一気に抜けてポンッと爆ぜる。
事務室で報告書を打ち込んでいると、隣の分析室からポンッという軽い爆音の後にキャッという短い悲鳴が続いた時には大概これである。
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