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2014年8月17日 (日曜日)

やらかした記憶・・・第16呟【色々な、変色】

【色々な、変色】

 化学薬品を扱っていて迂闊にも指先に付着してしまった時、時間差攻撃のように後から効いてくる変色がある。

 62%濃硝酸を扱っている時に誤って皮膚へ付着すると、後日その箇所は真っ黄色になる。これはキサントプロテイン反応によるもの。一皮分がやられているため、洗っても落ちない。削り取れば消える。

 35%過酸化水素が付着すると、しばらくしてから針で刺す様なチクチク、いやそれでは生ぬるい、どう表現したらいいものか上手く説明できないけれども、ピシッピシッという感じの強烈な痛みが襲ってくるとともに、その箇所は真っ白になっている。オキシドールで消毒しているのと同じ現象なのだが、痛みも白化変色も数倍酷い。しかし、この白変色は過酸化水素が完全に分解すれば消えてくれるので有り難い。ま、それまでの間、痛みを我慢せねばなるまいが。

 定量分析などで硝酸銀溶液をビュレットから滴下している時、コックを捻っているとどうしても指先に付着してしまう。これがどなるかというとその部分は真っ黒に。洗っても取れない。皮膚の深い部分にまで浸透していて一皮めくれば取れる。このことをよく知っている者は、面倒でも必ずゴム手袋を着用しているな。

 クロムめっき液が誤って指に付着した場合、その箇所は茶褐色になる。皮膚にクロム酸が浸み込んでしまうため、水で洗っても落ちない。しかし、これは6価クロムイオンの仕業なので塩酸ヒドロキシルアミン溶液などの還元剤で中和すれば脱色できる。若干薄い緑色が残るけれども、あまり目立たないので助かる。

 金属系材料で軽く表面をエッチングしたりすると、合金成分が表面に浮き出てきて困ることがある。これらを除去するときに用いるアルカリ過マンガン酸カリウム系スマット除去剤が指先に付着してしまうとその箇所は黒褐色になる。これも水で洗って落ちる様な変色ではない。だが、塩酸や塩酸ヒドロキシルアミンなどの還元剤で中和すれば脱色可能。

 いづれにしても、付着した箇所の皮膚は一皮分やられるか、荒れるかであまり気持ちのいいものではない。作業性を犠牲にしてでも手袋を装着するのは、実際に経験してみれば良く判ることである。

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化学屋のキケンな日々」カテゴリの記事

コメント

いやまあ~~

回を重ねる毎に凄い記述が・・・
なんと言えばよいか言葉が見つかりません。

[mytoshi]さん、無理にコメント頂かなくても。

 判る人は苦笑い、判らない人は”へぇ~”で十分ですので。

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