やらかした記憶・・・第18呟【断面観察の樹脂埋めで悲劇】
【断面観察の樹脂埋めで悲劇】
不良解析などで、品物を樹脂に埋めて断面方向から観察を行うことがある。2液混合式のエポキシ樹脂に埋める際、品物に気泡が付着したまま固まると目的の箇所が正確に研磨できないので、真空脱泡装置の中に入れて気泡を抜く作業を行う。目には見えない様な極々小さな気泡も、真空装置の中に入れるとやがて膨張し浮力を得て浮き上がってくるのだ。
2液混合式エポキシ樹脂は混ぜた直後から硬化を始め、5時間ほどで完全に固まる(種類にもよるけどネ)。50℃くらいに加熱すると硬化反応が加速して1時間ほどで固めることができるので、トラブルなど超特急な解析が必要な時は誠に重宝する。真空脱泡装置の中に入れて泡抜きをしていると、たまにそのまま忘れてしまうことがある。するとこれはとんでもないことになっていたりする。
エポキシ樹脂の硬化反応は発熱なので、空気中に置いたり恒温槽の中で固める時は問題ないのだが、真空脱泡装置の中だと都合が悪い。何故かというと、周囲が熱を伝えない真空なので硬化発熱が次第に蓄積していき、硬化反応そのものをさらに加速、よりいっそう発熱し・・・という連鎖反応が続いてついには樹脂の硬化剤成分が発泡、結果巣穴だらけのスポンジ状に固まってしまうのである!こうなるともう研磨などとてもできない状態。解析目的の不良品で指定箇所がそれ一つだった時には声も出なかったな。
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