やらかした記憶・・・第30呟【無電解ニッケル槽析出事件その壱】
【無電解ニッケル槽析出事件その壱】
幅1.5m×奥行1.5m×深さ2.5mの泳げるくらい大きな5500Lタンク槽での無電解ニッケルめっき液建浴立ち合い。建浴して数時間は問題なく稼働していた。自動分析補給管理装置の温度センサーが調子悪く原因究明のために配線を調べていたから、その時にめっき槽で起こっていた異常に気付くのが遅れたのだろう、上がってくるめっき処理品の表面に手袋が引っ掛かってしまう様なザラ析出が目立つようになってきていた。同時に管理装置の成分補給指令が連続で掛かる様になって止まらない状況にもなっていた。これは明らかに異常な状況で、ステンレス槽にめっきが着き始めている証拠だった。
現場作業者の判断で槽析出を起こしていると断定、急遽空け替え作業になった。これは仕事を半日止めてしまう重大はタイムロスで、立ち合っている者としては肩身が狭いどころか、針のムシロ状態。この時は相当に胃を痛めたな。
液を全部抜いて槽の底を観察してみると、pH調整剤の苛性ソーダ溶液を投入する配管の直下でめっきが析出していた。これはどういうことかというと、その時に建浴していた浴種がpH調整剤の溶けにくいタイプで大抵は希釈率を上げて補給するところを、現場の補給タンク容量の関係で薄めることが出来ずに濃いままで使わざるを得なかった。そして補給したさきから溶けないまま水酸化物を作って沈んでいたことを意味する。局所的にpHの高くなった槽底からめっき液が自己分解して槽析出を起こしたのだった。
無電解めっき浴というのは、一旦こうなると手の施しようがない。電気めっき浴ならば通電しなければ何も起こらなくて安定なのに比べると、無電解めっき浴というのは不安定極まりない。立ち合い時には安定するまでめっき槽から目を離してはいけないということを身に刻んだ一日だった。
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