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2014年8月の43件の記事

2014年8月30日 (土曜日)

100均ライト改造報告No.10-2(8/30建造完了)3LEDライト改二【急速閃光】

 前回の100均LEDライト改造品、3LEDライト改【電灯】の出来栄えが上々、勢いに乗って改二の建造を開始。前回の製造技術をさらに発展、放熱板付XP-Gの六角形加工精度を改善、別途用意した放熱板への取り付け方をネジ止めに変更、3LEDライト改二【急速閃光】が誕生した。実装部品としては、コンバータにOKL-T/6-W5N-C、電源に18650型Li-ion電池、そしてLEDはCREEチップXP-GランクR4放熱板付きを7灯使用。3LEDライト(ビッグレンズ)の改造は筐筒に余裕があり色々と組込可能。

3LEDライト改二『急速閃光』

   イオナ「急速閃光~!!ってあれ?艦が沈まない?その代りに何か光ってる?もしかして霧の新兵器?」
   ヒュウガ「そのままでも神々しいイオナ姉さま~!がもっと美しく輝くために新しく装備させて頂きましたっ!!」
   イオナ「・・・・・ヒュウガ、やりすぎ。でも群像、どうかな?」           from 『 蒼き鋼のアルペジオ 』

 『急速閃光』プラグイン能力情報

  照射径:70cm@1m
  光束値:490ルーメン
  照度値:1400Lux@1m(中心部)、1000Lux@1m(周辺部)
  動力源:18650型Li-ion電池×1本

----これより以下は建造編-----------------------------------

六角形XP-G XP-Gは前回と同じく7灯並べるので最密充填配置の六角形に加工。そして別途用意する放熱板への取り付けに際し、φ2mmのタッピング穴を設け、熱的な結合を確実に。

ケガキ用ジグ板 XP-G放熱板を六角形に切断加工する時のケガキ線とタッピング穴の位置決め用に、ポリカーボネートの透明板(DVD-Rのスピンドルパックに入っている保護板)で作ったジグ。

7灯XP-G仮止め 早速7灯分加工して放熱用アルミ板(円形切り出しまだ)に仮止めしてみたところ。今回はジグ使ってケガキ線入れたので六角形加工精度が向上し、隙間も等間隔で綺麗に並んでいる。

7灯XP-G仮止めのネジ 取り付けのネジが少し飛び出していて見苦しいので、後から長さを合わせて削る予定。

仮止めネジ裏側 取り付けネジの裏側からの様子。アルミ板1mm厚を今回も使う予定だが、さらなる放熱性向上を目的に銅板へ替えることも視野に入れておく。

コリメータユニットとの結合性 仮止めの状態だが、前回作ったコリメータユニットを試しに被せてみる。すっぽりと綺麗に納まってくれた。今回の改二では、コリメータユニットはこれとは別な製造法を検証するため、少し違った形になる予定。

アルミ放熱板加工完了 アルミ放熱板の円形切り出し加工完了。前回と同様、ひとまずアルミ板でいってみる。

コリメータユニット製作用ケガキ コリメータユニットは当初は新規製造法を試そうと考えたが、前回作製したユニットの溶着部分がLEDからの発熱で膨張して無数のクラックを生じていた不具合を確認、急遽、変更せざるを得なくなった。試そうとした新規製造法は無加工のアクリル板へコリメータを直に溶着する方法なのだが、熱膨張でクラックが入ると失透して透過率が激減してしまう可能性を否定できなくなったから。

012200011012200021 訳あって前回と同じ方法で作製したコリメータユニットと、こちらは新規方法で作製した7灯XP-Gユニット。3LEDライト改二用パーツもなんとか揃ってきたところだ。

012200041012200031 新しい方法で作った7灯XP-Gユニット。各LEDの並列結線をLED上で行い、最終的にプラス線とマイナス線のみ裏側へ導くようにした。また、各LEDはアルミ放熱板へネジ止めする際、ネジ頭が飛び出さない様にワッシャを入れて調整した。放熱性に関してはネジ止めによる熱伝導に任せることにして、グリスは敢えて塗らなかった。

012300011 前回とほとんど同じ構成。ただし、コンバータ基板は同じmuRata製でもOKL-T/6-W5N-Cで6A出力品。インダクターコイルのRdcがより低いものを使っているはずなので変換効率はさらに良くなると思う。

012300021 この辺りも前回と同じ様な構成。ON/OFF端子プルアップ用2.7KΩ抵抗が見えている。出力電圧調整用の1KΩ半固定抵抗は、コストの高い多回転式を使う必要はないかもしれない。

 イオナ姉さま~   イオナ「群像の未来は私が明るく照らしてあげる・・・。」
   タカオ「群像さまとの輝かしい未来・・・・・、いいなぁ、私もあれほしい。」
   ヒュウガ「あんたにもこのプラグイン実装してあげよっか?お安くしとくわよ~。」
                                          from 『蒼き鋼のアルペジオ』

※メンテナンス担当ヒュウガからの忠告

「建造および改造は各人の意思で行うこと。それによって生じた責任を負うことは当然だからね。」


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改造報告No.10-2_100均3LEDライトの輝度アップ改造(OKL-T/6-W5N-C、CREEチップXP-Gを7灯)

改造報告No.11____100均3LEDハンディライトAの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、LP-AWME56F1Aを3灯

改造報告No.11-2_100均3LEDハンディライトAの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、CREEチップXP-Gを3灯

改造報告No.12____100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、CREEチップXM」-L2ランクU21A搭載

改造報告No.12-2_100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、CREEチップXP-GランクR4搭載

改造報告No.12-3_100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、オプトサプライの1WパワーLED搭載

改造計画No.12-4_100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造計画(インバータ未定、CREEチップXP-Gを4灯組み込み予定)

改造計画No.12-5_100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造計画(CL0118B、LP-AWME56F1Aを3灯組み込み予定)

改造報告No.13____100均3LED自転車ライトの輝度アップ改造(LTC3490、CREEチップXP-G、ミニ単2NiMH)

改造報告No.14____100均4LEDハンディライトの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、LP-AWME56F1Aを4灯)

改造報告No.15____100均LEDミニスタンドライトのスタイリッシュ改造計画(LED、昇圧回路未選定)

改造報告No.16____100均BLT LED LIGHTの輝度アップ改造(CL0117+SBD+Cの単機駆動、CREEチップXP-G_R4搭載)

改造報告No.16-2_100均BLT LED LIGHTの輝度アップ改造(CL0117+SBD+Cの重連駆動、CREEチップXP-G_R4搭載)

改造報告No.16-3_100均BLT LED LIGHTの輝度アップ改造(LTC3490単機駆動、CREEチップXP-G_R4搭載)

改造報告No.16-4_100均BLT LED LIGHTの輝度アップ改造(CX2601、CREEチップXM-L2ランクU21A)

改造報告No.17____100均2WAY LEDキーホルダーの輝度アップ改造(EMH7601、GM2BB65QK0Cを5灯、単6形NiMH)

改造報告No.18____100均LX-601の輝度アップ改造(CX2601、CREEチップXP-G)

改造報告No.19____100均5LEDスタンドライトの輝度アップ改造(AMC7135、LP-AWME56F1Aを5灯、Li-ion電池)

改造報告No.19-2_100均5LEDスタンドライトの輝度アップ改造(AMC7135、GM2BB65QK0Cを5灯、Li-ion電池)

改造報告No.19-3_100均5LEDスタンドライトの輝度アップ改造(AMC7135、LP-AWME56F1Aを10灯、Li-ion電池)

改造報告No.20____100均LEDランタンの輝度アップ改造(焦電センサー、AMC7135、CREEチップXP-G、Li-ion電池)

改造計画No.21____100均サイクルセーフティライトの改造計画(一部パーツの流用と応用考察)

改造報告No.22____100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、OSW54L5111P)

改造報告No.22-2_100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、CREEチップXP-G、Li-ion電池)

改造報告No.22-3_100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、LP-AWME54F1A)

改造報告No.22-4_100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、OSW47L5111Y)

改造報告No.23____100均LEDミニタッチライトの輝度アップ改造(NJW4616、オプトサプライ製ブルーLED搭載)

改造報告No.24___100均5LEDスタンドライトと電球型LEDライトとを合体融合(タッチセンサー搭載)

改造報告No.25___100均サイクルフラッシュライトの輝度アップ改造(OKL-T/3-W5N-C、CREEチップXP-G

改造報告No.26___100均LEDヘッドライトの輝度アップ改造(CR123A、CREEチップXP-G)

第111呟__________100均タイマーライトのちょい改造(タイマー再始動用スイッチの追加)

【LEDライトの製造・改造、比較で気になる情報】

LEDライト改造で知りたい情報__ →CL0117、CL0118B、CX2601に[SBD+C]追加して最適化検証

LEDライト改造で知りたい照度比較__→100均ライト改造品および未改造品の照度測定比較

2014年8月29日 (金曜日)

やらかした記憶・・・第41呟【Li-ion電池を分解してみた。】

【Li-ion電池を分解してみた。】

 10年ほど前、ノーパソ用Li-ionバッテリーパックからバラした単セルを定電流電源装置で0.2C電流掛けて一晩放置、朝見たら電池電圧がゼロになってた。多くの先達がやっている爆発や破裂、液漏れは起こしていなかったけど、間違いなく過充電で壊してしまったらしい。

 完全に逝ってしまったようなので捨てる前に分解してみることにした。まずカシメ部分をペンチで起こして正極キャップを外し、次に外装をニッパで引き裂いていく。簀巻き構造の本体が露出すると、急に発熱してきてケムリが出たかと思ったらいきなり発火した! 何かあったらヤバイと思って流し台の所で分解してたから、すぐに蛇口の水をぶっかけて冷却、事なきを得たのだけれどちょっと怖かったナ。

 過充電による電解液の蒸発によって電極間の内部抵抗が上がっていただけだったので、電極活物質は完全に充電状態だったから、外装缶を剥いた本体の簀巻き構造をちょっと掴んだ時に短絡し、ショート発熱でセパレータが溶け、まだ残っていた溶媒に引火したのだった。構造を調べるために分解するなら、壊れた電池を使うにしてもちゃんと放電したものを使ったほうが無難。でも電圧ゼロだからといってそれが過充電でそうなっているのか過放電でそうなったのかは判断つかないから、分解そのものを止めるべきかもネ。

※くれぐれも分解は各人の意思で行うこと。それによって生じる責任を負うこともお忘れなく。

2014年8月28日 (木曜日)

やらかした記憶・・・第40呟【催涙ガスを作ってみた。(再現実験OK)】

【催涙ガスを作ってみた。】

 高校レベルの化学教科書や実験教科で既にお分かりの方も多いであろう、催涙ガスと言ってもアセトアルデヒドのことだと聞いたら。知らない人は興味あるかも知れないこの化学反応実験は、台所にある材料?で簡単に試せる・・・かも。

 アルコール度数の高いお酒、いわゆるエタノール含有量の多い溶液を用意できる? 消毒用エタノール燃料用アルコールがあればベストだけど。あとは3mm位のちょっと太めの銅線を探してきて、棒に5回ほど巻き付ける。径が1cm位のコイルが出来たら早速実験開始。ガスの遠火で銅線のコイル部分を真っ赤になるまで焼く。そして炎から出して空気中にしばらく置くと真っ黒の酸化銅が出来る。これを数回繰り返して、コイル部分の酸化銅を厚い皮膜にしておく。

 再び炎に入れて真っ赤に焼く。この時、ガスの炎の中心部の白い領域で加熱しないこと。折角作った酸化銅を還元してしまい元の銅に戻ってしまうから。時間掛かっても遠火でゆっくりと加熱しよう。銅コイルが真っ赤になったら、器に入れて少し温めたエタノールまたはお酒の液面付近に近づけると、揮発してきたエタノールと反応して無色透明で刺激臭のあるアセトアルデヒドが生成する。鼻を近づけてみると・・・・・ツーン!うわっ!ってなるから判ると思う。何度もやっていると鼻を抜け目に来て涙ボロボロになる。

 ちなみに、メタノールでも同じ反応が起きて、この場合はホルムアルデヒドが出来る。そしてこちらも同じアルデヒド基特有の刺激臭を確認できる。メタノールは、コーヒーサイフォン加熱用アルコールランプの燃料としてエタノールとの混合溶液が東急ハンズなどで簡単に買えるから、それを使ってみたらどうかと思う。

[20140828再現実験]

 折角記事にしたので久しぶりにやってみた。アルコールは上記の燃料用アルコールがあるし、ちょっと細いけれど0.6mmスズめっき銅線もある。竹串にこれを巻いてコイル部分を作りライターで炙って酸化銅を作る。20mL瓶に5mLほど入れておいた燃料用アルコールの液面近くに、赤熱状態の銅コイルを吊るす。数秒待ってから鼻を近づけてみると・・・・・ツーン、キタキタ!これだこれ!あ~、ちゃんと出来てるな間違いない。で、やりすぎて今度は涙ボロボロ出た。

[20140828実験考察]

 今回用意できたアルコールは、メタ37%+エタ63%の混合溶液だから純度高くて良かった。0.6mmスズめっき銅線のコイルは、竹串に数十回も巻けば反応表面積は可成りの大きさを稼げるから良かった。それで結果的に100%の再現率に。瓶に入れておくアルコールの量と、赤熱銅コイルの長さや吊るす位置との兼ね合いで、アルデヒド生成反応はアルコールが無くなるまで継続する。これは生成反応で生じた酸化発熱が銅コイルを再加熱してくれることと、生成したアルデヒドが気体となって瓶から立ち上る際に入れ替わりで空気が瓶に入って酸素供給が続くこととが上手く連携して連鎖反応になるため。瓶の縁からそっと息を吹き込んで強制的に酸素供給を行うと、一旦は冷めかかった銅コイルが生成反応熱を得て真っ赤に再加熱する様子を観察することが出来る。

※実験する場合は各人の意思で行うこと。それによって生じる責任を負うこともお忘れなく。

2014年8月27日 (水曜日)

やらかした記憶・・・第39呟【希硝酸を作ってみた。】

【希硝酸を作ってみた。】

『何もかもみな懐かしい過去編』

 高校生をやってた頃。バッテリー液を煮詰めて作った濃硫酸と、ロケット花火から抽出した硝酸カリウムとから、希硝酸を作ってた。ロケット花火は推進薬として黒色火薬を使っており、酸化剤の硝酸カリウムと、燃焼剤の硫黄、炭素とからなる混合物。たくさん取り出して水に溶かし、濾過した溶液を今度は蒸発濃縮していく。やがて溶解度を超えた分が結晶として出てくくるのでこれを集める。針状の透明で綺麗な結晶、これが硝酸カリウムだ。

 空き瓶に硝酸カリウムの結晶を入れておき、ここへ濃硫酸を注ぐと硝酸がガスとなって遊離してくるからすぐに管付きのフタを閉めて、管の先をコップの水に入れておく。すると出てきたガスは全て溶解し希硝酸になる。希硝酸が出来たかどうかは、銅板に雫を垂らして見れば判る。塩酸や硫酸では溶けない銅は硝酸には溶けるからだ。あまり濃いものが出来なかったらしくガスの発生量は僅かだったが、確かに銅イオンの青色を呈したしNO2(ノックス)ガスの臭いもしたから間違いなく希硝酸だ。

 流石にキサントプロテイン反応を起こすほどの高い濃度を得ることは出来なかったナ。

 

2014年8月25日 (月曜日)

やらかした記憶・・・第38呟【苛性ソーダを作ってみた。】

【苛性ソーダをつくってみた。】

『何もかもみな懐かしい過去編』

 高校生をやってた頃。台所にある食卓塩を大量に溶かした食塩水から、電気分解で苛性ソーダを作ってた。食塩水の電気分解は簡単だ、適当な電源アダプターとマンガン電池を分解して取り出した炭素棒があればいい。小さな容器に食塩水と2本の炭素棒をいれ、それぞれに電源アダプターのプラスとマイナスとを繋ぐだけ。

 プラス極の炭素棒からは塩素ガスが、マイナス極の炭素棒からは水素ガスが出てくる。食塩水の様子はどうなっているかというと、発生した塩素ガスが食塩水に溶けて次亜塩素酸ソーダが生成し白濁してくるだけ。このままでは苛性ソーダは一向に分離できない。それを単独で得るには隔膜式の電気分解装置を使わなければならないからだ。

 隔膜法には色々な種類があってイオン交換膜を使う方式が主流の様だが、そんなものは簡単に入手できない。それで石綿と鉄金網とを使うアスベスト隔膜法を用いた。石綿の代わりにキッチンペーパーを、鉄金網には魚を焼く金網を使って装置を構成、効率や純度は悪いけれど確かに苛性ソーダを作ることが出来た。

 何故それが判るかっていうと、舌先で舐めてみると粘膜が溶けてピリピリと痛みを感じたし、指先に付けた時には皮膚が溶けて指紋が無くなったからネ。

やらかした記憶・・・第37呟【塩酸を作ってみた。】

【塩酸をつくってみた。】

『何もかもみな懐かしい過去編』

 高校生をやってた頃。自動車用鉛バッテリーの希硫酸を煮詰めて作った濃硫酸と、台所にある食卓塩(食塩、塩化ナトリウム)とから塩酸を作ってた。ガラス容器に食卓塩を入れておき、次にそこへ濃硫酸を入れると勢いよくシュワシュワと塩酸ガスが遊離してくる。すぐに管付きのフタを閉め、管の先から出てくる塩酸ガスを水の入ったコップに突っ込んでおくと、出てきた塩酸ガスは全て水に溶けていく。

 作った塩酸は弁当用の小さなしょう油容器に入れてアルミ箔と共に学校へ持っていった。そして公開実験の始まりだ。机の上の小さく丸めたアルミホイルめがけてポタポタと垂らしてみる。すると思ったよりも激しくガスを噴いて一瞬で溶けてしまった。これほどまで濃度が高かったとは思わなかったからちょっと焦った。

 なるほど、それで出来立ての塩酸濃度を確かめるために舌先で舐めてた時、かなり酸っぱい思いをした理由が納得できた。

2014年8月24日 (日曜日)

やらかした記憶・・・第36呟【濃硫酸を作ってみた。】

 

 

【濃硫酸を作ってみた。】

 

『何もかもみな懐かしい過去編』

 

 高校生をやってた頃。自動車用鉛バッテリーの希硫酸を煮詰めて濃硫酸を作ってた。ホームセンターでバッテリー強化液と称して売っていた数%の希硫酸溶液を大量に購入、薄手のガラス容器に詰めてから沸騰石代わりに珊瑚片を投入し加熱、突沸しない様に振り混ぜながら少しづつ水分を飛ばしていく。水蒸気が出なくなるとそろそろ完了、硫酸の比重が上がったことは振り混ぜている液体がドロドロしてくるから判る。やりすぎると三酸化硫黄が揮発してきて水蒸気とは違う白くて硫黄臭のケムリになるのでこれもすぐに判る。

 

 完成した濃硫酸はきっちりとフタをして空気中の水分を吸収しない様にして冷却。手間暇かけて100mLほどの希硫酸を濃縮しても、濃硫酸としては数mL程度にしかならない。本物の沸騰石ではないのでたまに突沸し、畳やジーンズ、シャツに幾つもの大穴を空けた代償にしてはなんとも乏しい量だ。

 

 そして現在、遠い昔の高校生は大学で化学を学び、化学薬品を扱う会社に就職。そこで好きなだけ濃硫酸を触れる境遇になったことは、その当時からは思いもしなかった。濃硫酸は皮膚の角質の厚い部分であれば大したことはないけれど、それ以外の場所では急速に皮膚表面から水分を吸い取って焼ける様な痛みを発するからすぐわかる。反対に角質の厚い部分に掛かっても気付かないことが多い。指先についていたりするのを知らずに手を洗った時、希釈溶解熱でアチッとなるから気付いたりするぐらい。

やらかした記憶・・・第35呟【苛性ソーダを初めて知った日】

【苛性ソーダを初めて知った日】

『何もかもみな懐かしい過去編』

 学生の頃にやっていた建材用アルマイト処理会社でのアルバイト。建浴で使った苛性ソーダの粒が少しこぼれていた。蒸気で蒸し暑い工場内は湿度が高く、空気中の水分を吸ってすぐに潮解し、丸い雫の様になっている。そっと小指の先に付けてみた。なるほどこれが潮解という現象か、化学の勉強で習ってはいたけれど実際に見たのはこれが初めてだったから、しばらくまじまじと見つめていた。

 後日、妙に指先が痛むのでよく見ると炎症を起こしていて、それは先日、潮解した苛性ソーダの雫を付けていた箇所だった。皮膚がブヨブヨになっていて水で洗っていたら結構深い穴が空いていた。

 苛性ソーダが皮膚を溶かすキケンな薬品であることを身をもって学んだのは、その時だった。

やらかした記憶・・・第34呟【濃硝酸を初めて知った日】

【濃硝酸を初めて知った日】

『何もかもみな懐かしい過去編』

 学生の頃にやっていた建材用アルマイト処理会社でのアルバイト。建浴で使った62%濃硝酸の空ポリ容器を工場建屋の裏へ運ぶ。こっそり、残った液を地面に垂らしてみる。初めて見る62%濃硝酸は揮発性のある液体で、指先につけると少し熱くなる感じがした。たまたま雫が靴に垂れてしまい、少しケムリが出たような気がしたけれど、その時はまだ何も知らなかったから気にしなかった。

 後日、指先は少し黄色くなっていただけだったけれど、靴に垂れたその箇所には綺麗な丸穴が空いていたのでビックリした。そしてそれは濃硝酸の威力を知った瞬間だった。

2014年8月23日 (土曜日)

やらかした記憶・・・第33呟【ポンプから噴き出す苛性ソーダ】

【ポンプから噴き出す苛性ソーダ】

 薬液補給ポンプには様々なタイプがあるけれど、扱っている自動分析補給管理装置では、イワキ電磁定量ポンプを使うことが多い。これは電磁石を使ってテフロン製ダイヤフラムを駆動する方式で高吐出圧なタイプ。タラタラと連続で流れ出る様な吐出ではなく、ビュッビュッと圧力を伴って間欠的に噴き出す感じ。

 これまた無電解ニッケルめっきラインに立ち会っていた時のこと。イワキ電磁定量ポンプEH-E56タイプ(1250mL)を使って苛性ソーダ溶液を補給していたが、ポンプ吐出口付近で苛性ソータが漏れて少しづつ噴き出していた。バルブの締め付けが甘いか、ブレードホースの接続が外れかかっているかのどちらかなので、工具を使って追い締めしていたらホースが根元から外れてしまった。慌ててバルブを緩めてホースを繋ぎ直そうとしたら、ちょうどそのとき管理装置から補給指令が入ってポンプが駆動し始めた。途端に吐出口から高濃度の苛性ソーダ溶液が噴き出す!

 おもいっきり顔面に噴射してきた苛性ソーダが目に入らない様にギュッと閉じ、手の感覚だけを頼りにホースを押し付けてバルブを閉めていく。補給装置のポンプ動作を一時的にでも切っておかなかったことを悔やみつつ、苛性ソーダまみれの顔面と両手を犠牲にしてなんとか締め切った。すぐにラインを離れ、洗面所で随分と長い時間洗い流していた。両手は皮膚が溶けて指紋なくなるし、顔面はすこしヒリヒリするしで散々。

 目に入らなかったのは不幸中の幸い。でも、頭皮に付着した苛性ソーダは完全に洗い流せていなかったらしくて炎症が長引いた。そしてそれが治ったころから妙に禿上がる速度が加速したのは年のせいでないことは間違いない。

 大概、アルカリ溶液というのは酸性溶液よりも浸透性が高くて、僅かな隙間に易々と浸み込んで蒸発乾固するから締め付け部分のあちこちで粉を吹いていることが多い。アルカリマンガン電池が液漏れしやすいのは、内部電解液に高濃度な水酸化カリウム溶液を使っているからであって、放電末期に陽極の二酸化マンガンで酸化出来なくなった水素がガス化して内圧を上げ、これに押し出される様にガスケットから染み出すから。

やらかした記憶・・・第32呟【金めっき液からの金回収】

【金めっき液からの金回収】

 携帯電話用基板の表面処理で無電解ニッケル金めっき浴を評価していた時のこと。試験の度に新しいめっき浴を建てなければならないので無電解ニッケルめっき浴はその都度廃棄するのだけれど、置換金めっき浴や自己還元金めっき浴などは捨てずに回収しておく。何十リットル分も溜めていると、自己分解した金が容器の内側へ皮膜となって貼り付いている状態になるので、これをベリベリと剥がして回収。まだ液に溶けている金はステンレス板を電極にして電気分解し、析出が止まってガスばかり出る様になったら極板を引き上げて金を剥がす。

 かれこれ空いた時間にコツコツとやっていたら数百グラム分も集まってしまったので、その旨を上司に伝え貴金属専門の回収業者に精錬してもらって換金したら、50万くらいになってしまった。まったく廃液といってもホント侮れない。海外では、特にアジア圏内の表面処理業者では、金を狙って製造ラインのめっき浴が盗まれるものだから、終業時には槽へフタをしてカギを掛けるという。それはそうだろう、めっき浴1リットルにつき金は2グラム程度溶けているからネ。

 換金して得た金額がかなりのものだったから、これは素直に会社の会計へ上納した。名目上は雑収入?とかなんとかで。苦労して集めた金だったけれど、多分もう今頃は損失隠しの穴埋めで無くなっているんだろうナ。

2014年8月22日 (金曜日)

やらかした記憶・・・第31呟【無電解ニッケル槽析出事件その弐】

【無電解ニッケル槽析出事件その弐】

 泳げるくらい大きな幅2m×奥行1.5m×深さ1mの3000L無電解ニッケルめっき槽での建浴立ち合い。規定量の薬液を投入してあとは規定の建浴量まで純水でメスアップするだけ。といっても、投入しなければならない純水は2500Lも必要でこれがとても時間掛かる。待てない現場の判断でメスアップしながらスチーム温調を入れて同時に加温することになったのだが、これが悲劇の原因になろうとは思いもしなかった。

 熱交換器はステンレス製の蛇のようにうねった管で、スバリそのまま『蛇管』と呼ぶ。この蛇管の発熱部分は全て水中に沈めた状態で使う様になっていて通常は水面に露出した状態でスチームを流すことはない。しかしメスアップ途中で加温を始めたものだから、規定濃度よりも濃い状態のめっき液を水面付近で異常に加熱してしまった。ちゃんと薄まっていれば安定なめっき液は、この濃い状態での加熱によって不安定になり蛇管へ析出していたのだった。当然、最初はこのことに気付いていないものだからそのままメスアップと加温を続け、3000Lになっためっき液はやがて規定温度の85℃になる。

建浴当初の無電解ニッケルめっき浴は黒くて深い緑色をしている。しかし今回は違った。炭酸の立ち上るメロンソーダのごとく、緑色なのだがどこからかガスが出ていて白っぽいのだ。現場判断では槽析出しているとのことで、このまま使っても薬液使用量が膨大になるだけだから再建浴するとのこと。当然の判断だろう、品物につく以上にめっき槽への析出が多ければコスト問題になるからだ。しかし再建浴とはどういうことだろう、現場に聞いてみると空け替える槽が無いとのこと、つまり今建てた3000L分を移す空き槽が無いというのだ。槽析出を起こしてしまうと、一旦めっき液を抜いてから硝酸を張って析出しためっきを剥がす作業が必要になる。だからこの3000Lはまだ全然使っていないけれども捨てるしかないという。

 建浴に使った薬液代数十万円は一瞬で消えていった。

やらかした記憶・・・第30呟【無電解ニッケル槽析出事件その壱】

【無電解ニッケル槽析出事件その壱】

 幅1.5m×奥行1.5m×深さ2.5mの泳げるくらい大きな5500Lタンク槽での無電解ニッケルめっき液建浴立ち合い。建浴して数時間は問題なく稼働していた。自動分析補給管理装置の温度センサーが調子悪く原因究明のために配線を調べていたから、その時にめっき槽で起こっていた異常に気付くのが遅れたのだろう、上がってくるめっき処理品の表面に手袋が引っ掛かってしまう様なザラ析出が目立つようになってきていた。同時に管理装置の成分補給指令が連続で掛かる様になって止まらない状況にもなっていた。これは明らかに異常な状況で、ステンレス槽にめっきが着き始めている証拠だった。

 現場作業者の判断で槽析出を起こしていると断定、急遽空け替え作業になった。これは仕事を半日止めてしまう重大はタイムロスで、立ち合っている者としては肩身が狭いどころか、針のムシロ状態。この時は相当に胃を痛めたな。

 液を全部抜いて槽の底を観察してみると、pH調整剤の苛性ソーダ溶液を投入する配管の直下でめっきが析出していた。これはどういうことかというと、その時に建浴していた浴種がpH調整剤の溶けにくいタイプで大抵は希釈率を上げて補給するところを、現場の補給タンク容量の関係で薄めることが出来ずに濃いままで使わざるを得なかった。そして補給したさきから溶けないまま水酸化物を作って沈んでいたことを意味する。局所的にpHの高くなった槽底からめっき液が自己分解して槽析出を起こしたのだった。

 無電解めっき浴というのは、一旦こうなると手の施しようがない。電気めっき浴ならば通電しなければ何も起こらなくて安定なのに比べると、無電解めっき浴というのは不安定極まりない。立ち合い時には安定するまでめっき槽から目を離してはいけないということを身に刻んだ一日だった。

やらかした記憶・・・第29呟【めっき剥離用硝酸での悲劇】

【めっき剥離用硝酸での悲劇】

 ステンレスジグに析出したニッケルや銅めっき皮膜を溶解除去する際には62%濃硝酸を用いる。何回も使いまわししていると、銅が溶けた青色とニッケルが溶けた緑色が合わさって青緑色に変わっていく。すぐ隣にはパラジウムの剥離用に35%濃塩酸と35%過酸化水素水との混合溶液が置いてあり、一応は王水成分を生成するのであらゆる金属を溶かしてしまうからステンレスジグについためっきの剥離には使えない。たまに気づかないまま放り込んで完全に溶けて跡形もなくなっているのを見たことがあった。ジグに貼ってあったビニールテープの断片だけが浮いていたからだ。

 さて、間違ってステンレスジグを溶かしてしまったパラジウム剥離液は綺麗な黄緑色をしており、使い込んだ濃硝酸めっき剥離液にそっくりな色合いだ。ドラフトの中にはガスを発生するいろいろな処理薬品が置いてあって狭くなっていたから、誰かが気を利かしたのか判らないけど、同じ色の中身を一つにまとめたらしい。こうして出来上がったのが塩酸と硝酸と過酸化水素水との混合溶液。過酸化水素水はやがて分解して無くなってしまうから、ほぼ塩酸と硝酸の混合溶液で結局は王水の成分。

 このことを知らない輩は、次々とめっき剥離のために高価なジグやステンレス製ピンセットなどビーカーの縁に引っ掛けて放り込んでいく。翌日、使おうと思って引き揚げてみると液面から下が綺麗になくなっているのであった。そして怒号が響き渡る。

 『誰だ~! 剥離硝酸に塩酸入れた奴は!』

 当然、気付かないでやってるもんだから、誰も名乗らない。

2014年8月21日 (木曜日)

やらかした記憶・・・第28呟【液体窒素の扱い】

【液体窒素の扱い】

 電子顕微鏡に付随する成分分析用のEDS検出器や膜厚等を計測する蛍光X線マイクロエレメントモニターの検出器は冷却する必要があって液体窒素をよく使っていた。最近はペルチェ素子を使った電子冷却装置を用いているものが普及してきて必ずしも液体窒素は必要でなくなったが。

 装置の液体窒素デュワー瓶へ輸送用のデュワー瓶から移す時、専用の手動式ポンプがあるのだが、面倒な時はヤカンと漏斗とを使ってしまう。すると、常に液体窒素の蒸発ガスを吸ってしまうものだから酸欠状態になって頭がフラフラしていた。装置内デュワー瓶を満タンにして余った時は長期保存が効かないので色々と遊んでいた。

 まず床に撒いてみる。すると液体窒素が水玉状になって白煙を上げつつピョンピョンと跳ね回り、コロコロと滑るように転がっていく。水の入った桶に入れてみる。すると周囲の水は凍り、ボコボコッと周期的に白煙が立ち上る様子を見ることが出来る。手のひらに液体窒素の水玉を乗っけると、熱いのか冷たいのかよく判らないもののチクチクとした痛みを伴う不思議な感覚を得る。あまりやっていると凍傷になるから気を付けねばならない。

 流石にバナナまでは用意できなかったから凍らして釘を打つような真似はしなかったな。

やらかした記憶・・・第27呟【高炭素鋼めっき不良品は厄介】

【高炭素鋼めっき不良品は厄介】

 炭素含有率が高くて高硬度な炭素鋼へめっき処理をすることは多々あって、これのめっき不良も多種多様である。不良解析を行う時には切断したり、樹脂埋め断面観察用に研磨したりするわけだが、これがとても厄介なのだ。

 複雑な形状の品物からめっき不良箇所を切り出すための切断作業において、まず普通の糸鋸ではすぐに鈍って切ることが出来ない。そこで高速カッターという名称の機械を使う。CD盤サイズの円盤型砥石を高速で回転しつつ水を掛けて冷却しながら切断する装置である。高炭素鋼は火花を出しながらどうにかこれで切ることが出来る。切断にはテクニックが必要で、少しでも切削スピードの調整を焦ったりすると、バァン!という轟音とともに一瞬で砥石が砕け散る。これが思いのほか怖い。この時、砕け散った砥石が品物に突き刺さっているのを知らずに、新しい砥石を取り付けて再トライすると、またバァン!と砕け散ってしまう。何枚かこれを繰り返すとようやくそのことに気付くのであった。砥石自体は砥石では切れないことに。

 無事に切断できた不良箇所を今度は樹脂に埋めて研磨しなければならない。回転型研磨機というのがあって、円盤型の水砥ぎペーパーをロクロの様な回転台に張り付けて使う。樹脂埋め品を削るとき、樹脂部分は簡単に削れるのだけれど、埋めた炭素鋼は硬くてなかなか削れない。なんとか削ろうとして水砥ぎペーパーに強く押し付けていると、圧力に負けてペーパーが破れてしまう、ベリベリに。すると今度は指を思いっきり削ってしまうのである。何回も繰り返せば爪も皮膚もやがてボロボロ。

 高炭素鋼のめっき処理は難しいけれど、不良解析も一筋縄ではいかないのであった。

やらかした記憶・・・第26呟【催涙性な処理薬品】

【催涙性な処理薬品】

 電気を使わない化学銅めっき浴は、めっき処理を行うと浴成分が変動するので定期的に分析を行って補給管理しなければならない。銅イオン、還元剤、苛性ソーダの3液を供給するのであるが、このなかで還元剤には37%ホルマリンを使っている。

 スルホールプリント基板を作る化学銅めっきラインに立ち会っていた時のこと。次々と上がってくるめっき品の析出具合と分析装置が弾き出す浴状態との関連を追いかけていた。銅イオン濃度の下がり方が鈍くなかなか補給が入っていかないし、めっき仕上がりは鮮やかなピンク色だった析出銅表面がくすんできていたので、析出速度が落ち始めていることが見てとれた。このままではめっきが乗らなくなってしまう(めっきスキップという)。還元剤のホルマリンに入れている浴安定剤が効きすぎているらしいので、安定剤の入っていない生のホルマリンで薄めることにした。

 補給タンクのフタを開けて工業用37%ホルマリンを投入していく。この時、20LのUN規格ポリ缶から注ぐ際、揮発してくるホルマリンが目と鼻と喉を直撃。目からは涙ボロボロ、鼻水止はまらないし、喉は呼吸するたびにヒリヒリしきて息できない。めっきがスキップしたら終わりなので急いで投入せねばならない。飛び跳ねるのもお構いなしでバシャバシャやっているものだから余計に揮発してきて状況はますます酷くなる。涙と鼻水と冷や汗にまみれて・・・・・これって一体どんな拷問だヨ。

2014年8月20日 (水曜日)

100均ライト改造報告No.10(3LEDライト改【8/20更新】冷却用放熱板装填完了!)

 ダイソーの3LEDライト(ビッグレンズ?)はミーツの3灯LEDライトと同等品でこれを高輝度改造した。元々はφ5mm砲弾型LED3個でレンズ付き仕様だが、これをCREEチップXP-GランクR4で置換、しかも専用コリメータと組み合わせて7灯搭載した。

いなづまのあかり【電灯】     電(いなづま) 『 この灯りがあれば、もう衝突しないで済みそう? 【電(いなづま)の灯り】すなわち【電灯】なのです!』
               (いにゃづまは¥600前後、改造【電灯】は¥3000くらい掛かってる)

3LEDライト改【電灯】明るすぎ あまりに明る過ぎて露出を相当に絞った。7灯XP-G化改造品【電灯】における1m先の照射径は70cm、照度値は中心部1400Lux(周辺でも1000Luxある)、光束値は490ルーメン。下図のノーマル機と比較すれば、どれほど明るいかよく判る。黄色っぽい?

非改造3LEDライト暗すぎ】 こちらはノーマル非改造品における比較。照射径は40cm、照度値は中心部450Lux、光束値はLED特性判らないので不明。なお比較のために露出はもちろん同じ。わりと青っぽい。

~~~これより以下は製作編~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

コリメータユニット組立て ライトヘッド部分から3灯の窓を除去、そこへ新たにコリメータユニットを作製して嵌め込む。ダイソーの3LEDライト(ビッグレンズ)は、ミーツのスルガ(株)製3灯LEDライトが同等品で両者とも¥108、今回は全体的に艶消し外観で電源スイッチゴムカバーの飛び出し方が低くて好みの後者を使った。

7灯のCREE専用コリメータ 7個のコリメータを固定する板は3mm厚アクリル板を加工して作ったもの。これを組み合わせてコリメータユニットとする。コリメータは7個分で¥700、透明アクリル板はφ40mmのものが¥165。

コリメータユニット完成品表側コリメータユニット完成品裏側 固定板とコリメータとはアクリル樹脂用接着剤(アクリサンデー接着剤)で溶着。流し込み式の溶剤(塩化メチレン、ジクロロメタン)で綺麗に仕上がる。シアノアクリレート系瞬間接着剤は白化して失透すると取り返しがつかない。

コリメータユニットの仮取付け 溶着したコリメータユニットをライトヘッドへ取り付けてみる。これはなかなかに上出来だ。

7灯CREEチップXP-G取付け基板 CREEチップXP-Gを積載する基板。いつものごとく切削の楽なベークライト製ICBユニバーサル基板を円形に加工。

XP-G放熱板を六角形に六角形XP-Gに貫通端子取付け CREEチップXP-GランクR4は六角形に切断したあと放熱板に貫通孔を設け、通電用の端子を裏面に導く加工を施す。1個あたり¥200のハイパワーLEDを惜しげもなくどんどんカッティング、7灯分で¥1400。(→さらに加工精度を高めた第二弾が!

等間隔な六角形XP-G 引き出した端子を基板へハンダ付け固定した後、コリメータユニットとの位置合わせを行う。写真は綺麗な等間隔に並んでいる様子。

XP-Gユニットとコリメータユニット 位置合わせを行ったXP-Gユニットへコリメータユニットを被せてみたところ。綺麗に納まっている。

XP-Gの取付け方 六角形加工XP-Gの基板への取り付けは、1mmの空隙を設けて浮かすようにハンダ付け。こうすればコリメータユニットとの位置合わせで微妙なズレを補正出来る。
(8/20更新情報:この空隙へ放熱性を高める目的でアルミ板を装填。詳細は後の方に記載した)

XP-Gユニットとコリメータユニットはぴったり コリメータユニットとXP-Gユニットとをヘッドに組み込んでみたところ。XP-Gの蛍光体が綺麗に各コリメータ中心部に位置している様子が判る。

TPS63060の結線 完成した7灯並列接続型XP-Gユニット、昇降圧コンバータ基板TPS63060(千石電商では¥1030)、18650型Li-ion電池(昔バラしたノーパソ用電池でもはや価格不明)を配線したところ。元々の電源スイッチは端子を加工して再利用。
(8/17更新情報:コンバータ基板は後日、効率向上目的のため別なタイプへ換装した。詳細はこのすぐ後を参照)

TPS63060のEnable端子 昇降圧コンバータ基板TPS63060はEnable端子を利用して動作をコントロールできるので、これを電源スイッチとして利用。Li-ion電池からの電源配線は直結したままで良く、途中にスイッチを入れた場合にトラブルの元となる接触抵抗による電圧降下やジュール熱発生を無くせるので誠に都合がいい。なお、Enable端子は感度が非常に高くて100kΩで強制プルダウンしておかないと端子に近づいただけで電源が入ってしまう(←それはそれで面白い応用がありそうやね)。

TPS63060の組込み 配線を組み終えてボディーに組み込んだところ。基板はとても小さくて余裕で組み込める。発熱が気になるなら放熱板を取り付けることも簡単。

※各種測定値を記載しとく。

LED出力:2.65V1280mA(≒183mA×7灯)3.39W
電源入力:Li-ion電池3.29V1700mA5.61W
変換効率:約60%(電池電流をピーク値で計測してまっとるから?)
照度値 :1400Lux@1m
照射径 :70cm@1m(広角照射で倉庫内探索とか非常灯用途やら)
光束値 :490ルーメン(≒70ルーメン×7灯)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【8/17更新:効率化向上を目的にコンバータ基板の換装を実施】

OKL-T/3-W5N-Cの配線 当初は昇降圧コンバータ基板としてTPS63060を使ったが、比較的に高価(千石電商で¥1030)なわりには発熱が酷くて変換効率は悪かった。どうしても納得がいかなかったので、コンバータ基板をより安価で高効率なタイプへ換装することに。muRata製のOKL-T/3-W5N-Cは入力電圧が2.4~5.5V、降圧出力は0.6~3.63Vで最大3Aを吐出でき、価格は¥400(秋月電子)と安価なわりには高い変換効率を示す小型なモジュール。

OKL-T/3-W5N-CのON/OFF端子  降圧コンバータ基板OKL-T/3-W5N-CはON/OFF端子を利用して動作をコントロールできるため、これを電源スイッチとして利用できる。Li-ion電池からの電源配線を直結することで、途中にスイッチを入れた時にトラブルとなりやすい接触抵抗による電圧降下やジュール熱発生等の損失を考えなくてもよい。ON/OFF端子にはモジュール基板裏側へ2kΩの強制プルアップ抵抗を接続してノイズ等による誤作動を防ぐ。

OKL-T/3-W5N-Cの組込み 配線を組んでからボディーに仕込んだところ。基板はTPS63060よりも小さくてさらに組み込みが楽に。しかも触れなくなるほど発熱するTPS63060とは違い、OKL-T/3-W5N-Cは全くといっていいほど発熱が無い!これは素晴らしい。なんせ7灯CREEチップXP-Gユニットからの発熱が凄いので、コンバータも発熱していたら相当に熱が篭って危険極まりない。一つ気になる点があるとすれば、電源入力3.2Vまでは降圧出力を2.65V以上保てるが、電池電圧が下がって3.2Vを切ると降圧出力を維持出来なくなり、後は比例して低下すること。TPS63060だと2.5Vまで電池電圧が下がっても降圧から昇圧へ自動的に切り替えて対応してくれるが、これに関しては見方を変えればLi-ion電池を下限放電電圧の3.2V以降も絞り出す様に使うのは寿命の低下に繋がるわけで、TPS63060を使っていればそういう状況に陥りやすいとも。

※各種測定値を記載しといたげる。

LED出力:2.65V1280mA(≒183mA×7灯)3.39W
電源入力:Li-ion電池3.22V1120mA3.60W
変換効率:約94%(どえらぃ理想的やわ!)
照度値 :1400Lux@1m
照射径 :70cm@1m(広角照射で倉庫内探索とか非常灯用途やがね)
光束値 :490ルーメン(≒70ルーメン×7灯)

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【8/20更新:LED冷却用放熱板の装填完了!】

アルミ製放熱板追加加工 六角形にカットしたCREEチップXP-Gは思いの他、熱容量が低下して放熱効果が薄れてしまったので、LEDと基板との隙間にアルミ放熱板を新規設置することに。1mm厚アルミ板を加工して作成。

追加アルミ製放熱板の取付け 基板と六角形XP-Gとの取付隙間を利用して、そこへ加工した1mm厚アルミ放熱板を挟み込む構造に。白いものは熱伝導グリスで放熱性を高めるために一応塗っておいた。この放熱板の新規装填により、今まで触れないほど発熱していたLEDユニットへようやく触れる様になったことから、その効果を十分に認めることができる。

※改造は各人の意思で行ってください。それによって生じる責任を負うこともお忘れなく。
 (って誰もマネしーせんわな、コストやって半端あれせんし)


【こちらも参考に如何ですか?】

【オリジナル製作なLEDライトたち】

フリスクレーザーの製作No.1_フリスクにレーザーユニットを組み込む(秋月電子LM-102-Bモジュール使用)

フリスクライトの製作No.3_フリスク120にLEDライトを組み込む(AMC7135、CREEチップXP-Gを2灯、Li-ion電池)

フリスクライトの製作No.2_フリスクにLEDライトを組み込む(LTC3490、TL1F2-DW0-Lを5灯)

フリスクライトの製作No.1_フリスクにLEDライトを組み込む(CL0117、CREEチップXP-Gを4灯)

メンソレータムLEDライトの製作No.1_メンソレータムDMをLEDライトにする計画(CREEチップXP-G使用)

スリムロッドLEDライトの製造報告No.1_φ8mmパイプをLEDライトに(EMH7601、CREEチップXP-G、単6形NiMH)

モバイルバッテリーLEDライトの製造報告No.1_モバイルバッテリーをLEDライトに(AMC7135、CREEチップXM-L2ランクU21A、Li-ion電池)

9LEDフラットライトの製造報告No.1_平面照射なLEDライトの製造(AMC-7135、TL1F2-DW0_Lを9灯、Li-ion電池)

ポータブル5LEDライトの製造報告No.1_平面照射なLEDライトの製造(AMC-7135、CREEチップXP-Gを5灯、Li-ion電池)

平面照射形LEDライトの製作No.1_小型液晶パネルのバックライトを流用した平面照射なLEDライト

充電用BOXのLEDライト改造報告No.1_筺体を利用してLEDライトに(EMH7601、CREEチップXP-G)

★オリオンミニコーラLEDライトの製造計画No.1 駄菓子のケースをLEDライトに(計画中)

【一般市販品を改造したLEDライトたち】

スネークライトの改造計画No.1_スネークライトの改造計画(ひとまず分解から)

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LEDミニランタン改造報告No.1_オーム電機製LEDミニランタンの輝度アップ改造(CL0118B、CREEチップXP-G)

改造報告No.1____100均ミニランタンのLED化改造(CL0118B、オプトサプライの1WパワーLED)

改造報告No.1-2_100均ミニランタンのLED化改造(CL0118B、CREEチップXP-G)

改造報告No.2____100均2WAYランタンの輝度アップ改造(CL0117、0.19~1W)

改造報告No.2-2_100均2WAYランタンの輝度アップ改造(CL0117、CREEチップXP-G)

改造報告No.2-3_100均2WAYランタンの輝度アップ改造(LTC3490、CREEチップXP-G)

改造報告No.3-1_100均3LEDタッチライトの輝度アップ改造(日亜NFSW036CT)

改造報告No.3-2_100均3LEDタッチライトの輝度アップ改造(CL0118B、日亜NFSW036CT)

改造報告No.4____100均3LEDパワーライトの輝度アップ改造(CL0117、CREEチップXP-G)

改造報告No.4-2_100均3LEDパワーライトの輝度アップ改造(CL0117、オプトサプライの3WパワーLED)

改造報告No.4-3_100均3LEDパワーライトの輝度アップ改造(CL0117にSBD+C併用回路換装)

改造報告No.4-4_100均3LEDパワーライトの輝度アップ改造(CL0117にSBD+C併用回路内蔵)

改造報告No.4-5_100均3LEDパワーライトの輝度アップ改造(LTC3490、CREEチップXM-L2搭載)

改造報告No.4-6_100均3LEDパワーライトの輝度アップ改造(CL0117+SBD+C回路、LP-AWME56F1Aを3灯)

改造報告No.5____100均白色レンズ付LEDライトの輝度アップ改造(CL0117、CREEチップXP-G)

改造報告No.5-2_100均白色レンズ付LEDライトの輝度アップ改造(CX2601、CREEチップXP-G)

改造履歴一覧____改造報告No.1からNo.11-2までの諸元

改造報告No.6____100均ランチャー9の輝度アップ改造(LTC3490、CREEチップXP-G)

改造計画No.6-2_100均ランチャー9の輝度アップ改造計画(CL6808、LED選定未定)

改造報告No.7____100均スリムライトLEDの輝度アップ改造(5φ砲弾型で0.19W)

改造報告No.7-2_100均スリムライトLEDの輝度アップ改造(CL0117、CREEチップXP-G)

改造報告No.8____100均5LEDライトの輝度アップ改造(CL0117、CREEチップXP-G)

改造報告No.9____100均1LEDライトミニキーホルダーの輝度アップ改造(CL0117、CREEチップXP-G)

改造報告No.10____100均3LEDライトの輝度アップ改造(OKL-T/3-W5N-C、CREEチップXP-Gを7灯)

改造報告No.10-2_100均3LEDライトの輝度アップ改造(OKL-T/6-W5N-C、CREEチップXP-Gを7灯)

改造報告No.11____100均3LEDハンディライトAの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、LP-AWME56F1Aを3灯

改造報告No.11-2_100均3LEDハンディライトAの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、CREEチップXP-Gを3灯

改造報告No.12____100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、CREEチップXM」-L2ランクU21A搭載

改造報告No.12-2_100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、CREEチップXP-GランクR4搭載

改造報告No.12-3_100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、オプトサプライの1WパワーLED搭載

改造計画No.12-4_100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造計画(インバータ未定、CREEチップXP-Gを4灯組み込み予定)

改造計画No.12-5_100均3LEDクリップライトの輝度アップ改造計画(CL0118B、LP-AWME56F1Aを3灯組み込み予定)

改造報告No.13____100均3LED自転車ライトの輝度アップ改造(LTC3490、CREEチップXP-G、ミニ単2NiMH)

改造報告No.14____100均4LEDハンディライトの輝度アップ改造(CL0118B+SBD+C、LP-AWME56F1Aを4灯)

改造報告No.15____100均LEDミニスタンドライトのスタイリッシュ改造計画(LED、昇圧回路未選定)

改造報告No.16____100均BLT LED LIGHTの輝度アップ改造(CL0117+SBD+Cの単機駆動、CREEチップXP-G_R4搭載)

改造報告No.16-2_100均BLT LED LIGHTの輝度アップ改造(CL0117+SBD+Cの重連駆動、CREEチップXP-G_R4搭載)

改造報告No.16-3_100均BLT LED LIGHTの輝度アップ改造(LTC3490単機駆動、CREEチップXP-G_R4搭載)

改造報告No.16-4_100均BLT LED LIGHTの輝度アップ改造(CX2601、CREEチップXM-L2ランクU21A)

改造報告No.17____100均2WAY LEDキーホルダーの輝度アップ改造(EMH7601、GM2BB65QK0Cを5灯、単6形NiMH)

改造報告No.18____100均LX-601の輝度アップ改造(CX2601、CREEチップXP-G)

改造報告No.19____100均5LEDスタンドライトの輝度アップ改造(AMC7135、LP-AWME56F1Aを5灯、Li-ion電池)

改造報告No.19-2_100均5LEDスタンドライトの輝度アップ改造(AMC7135、GM2BB65QK0Cを5灯、Li-ion電池)

改造報告No.19-3_100均5LEDスタンドライトの輝度アップ改造(AMC7135、LP-AWME56F1Aを10灯、Li-ion電池)

改造報告No.20____100均LEDランタンの輝度アップ改造(焦電センサー、AMC7135、CREEチップXP-G、Li-ion電池)

改造計画No.21____100均サイクルセーフティライトの改造計画(一部パーツの流用と応用考察)

改造報告No.22____100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、OSW54L5111P)

改造報告No.22-2_100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、CREEチップXP-G、Li-ion電池)

改造報告No.22-3_100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、LP-AWME54F1A)

改造報告No.22-4_100均ランチャーライトV9の輝度アップ改造(AMC7135、OSW47L5111Y)

改造報告No.23____100均LEDミニタッチライトの輝度アップ改造(NJW4616、オプトサプライ製ブルーLED搭載)

改造報告No.24___100均5LEDスタンドライトと電球型LEDライトとを合体融合(タッチセンサー搭載)

改造報告No.25___100均サイクルフラッシュライトの輝度アップ改造(OKL-T/3-W5N-C、CREEチップXP-G

改造報告No.26___100均LEDヘッドライトの輝度アップ改造(CR123A、CREEチップXP-G)

第111呟__________100均タイマーライトのちょい改造(タイマー再始動用スイッチの追加)

【LEDライトの製造・改造、比較で気になる情報】

LEDライト改造で知りたい情報__ →CL0117、CL0118B、CX2601に[SBD+C]追加して最適化検証

LEDライト改造で知りたい照度比較__→100均ライト改造品および未改造品の照度測定比較

2014年8月19日 (火曜日)

やらかした記憶・・・第25呟【苛性ソーダ溶液を作るとき】

【苛性ソーダ溶液を作るとき】

 苛性ソーダ溶液は様々な処理剤で使用する。アルマイト染色を行う時、予め素材表面を整えておくためにエッチングを行うのだが、これには専ら苛性ソーダの50[g/L]溶液を使う。つまり1Lの水に苛性ソーダを50g溶かした溶液で、これを50℃前後に加温して用いる。

 さて、このアルミエッチング剤を建てる時はどうしているかというと、手っ取り早く作る方法としてお湯に苛性ソーダを溶かすという荒業を用いる。ビーカーの底に規定量の苛性ソーダを入れておき、ガス瞬間湯沸かし器からぬるま湯を注ぐとボコボコと音を立てながら勢いよく溶けていき、やがて沸騰する。ぬるま湯の温度に溶解熱が加わって100℃まで上昇している証拠だ。あとは規定の液量まで水道水を足して温度を50℃前後に持っていく。これで加温する時間も必要なくすぐにテストへ入れるのであった。

 この建浴方法は沸騰するわけだから場合によっては突沸を起こして高濃度アルカリ溶液が噴出する恐れを念頭に置かねばならない。強アルカリが目や皮膚に付着した場合は酸の場合よりも厄介なことになるので、危険性を認識できない輩は真似しない様に。

やらかした記憶・・・第24呟【98%濃硫酸を希釈するとき】

【98%濃硫酸を希釈するとき】

 100[mL/L]の硫酸酸活性液を作る時には98%濃硫酸を単純に水で希釈すればいいのだが、問題はその薄め方だ。処理液を1L作る場合、メスシリンダーで98%濃硫酸を100mL計量して、それを900mLの水と併せればよい。

(1)100mLの98%濃硫酸に900mLの水を少しづつ注ぐ。
(2)900mLの水に100mLの98%濃硫酸を少しづつ注ぐ。

 最終的に出来上がる100[mL/L]希釈硫酸はどちらの方法で作っても同じものが出来るのだが、作業性に関しては大きな違いがある。問題は98%濃硫酸が水に溶ける時に発生する希釈熱の存在。(1)の方法だと加えた水が瞬時に沸騰、突沸して飛散するからとても危険である。(2)の方法だと、希釈熱は大量の水で分散するので沸騰、突沸することなく安心して作業できる。

 仕事がマンネリ化してきて刺激が無くなってくると、(1)の作り方をわざとやってスリルを楽しんだりしていたことはよくあったな。

やらかした記憶・・・第23呟【ビーカーの肉厚が薄くなってる?】

【ビーカーの肉厚が薄くなってる?】

 使いまわしで色々な処理薬液に触れているビーカーで、同じメーカー(イワキPYREX)の同じ1Lビーカーなのに持った感覚が妙に軽くなっているものがある。よく見て見ると内側に線が入っていて、そこから下のガラス肉厚が薄くなっているだ。何をしたらこうなったか、それは処理薬液の中で酸性フッ化アンモニウムを使ったものがあって、まだ成分を知らない新人が建浴に使った結果なのである。

 フッ化水素酸を扱う時、ガラスビーカーを使ってはいけないことくらいは化学系の大学を出ていれば判る。でも成分の一つとして酸性フッ化アンモニウムを含んでいる処理薬液はたくさんあって、それらは一つ一つ調べないと判らない。間違って建浴して、さらに加温しようものならどんどんとガラスが溶けて肉厚は薄くなっていく。

 事情を分かっている輩は、これらフッ化物を含んだ処理薬液を建浴するとき、1Lや2Lのポリ容器の上の方を切って使っている。大概は元々処理薬液の製品が入っていたPP製容器を捨てる前によく洗って再利用している。

 何も知らない最初の頃は、気が付かない間に何個か犠牲にしているはず。そして今日もベテラン社員の怒号が響き渡る。

 『 誰だ! フッ化物をビーカーで建てたやつは! ビーカー溶けてるだろ~が!』

やらかした記憶・・・第22呟【ある処理剤を建てると咳込む件】

【ある処理剤を建てると咳込む件】

 ガラスエポキシ系プリント基板(FR-4やCEM-3など)で銅箔の密着性を高めるために樹脂部分をエッチングする時や、鉄鋼系材料などのエッチングで生じたスマット成分を除去する時などに用いる処理剤がある。酸化剤としての過マンガン酸カリウムを高濃度の苛性ソーダに溶かしたアルカリ過マンガン酸カリウム系エッチング剤だ。

 使用温度が80℃前後なので、建浴するときはお湯に過マンガン酸カリウムと苛性ソーダとを溶かすと素早く作れる。紫色の綺麗な粉末である過マンガン酸カリウムを規定量のお湯に溶かし、続いて粒状の苛性ソーダを少しづつ加えていくと、溶解熱が加わって液温が一気に上昇する。グツグツとまるで沸騰しているかのような溶け方をするが、この時にミストと呼ぶ霧状のガスが発生してくる。紫色の妖しい霧だ。

 建浴が済むと、自分も含めて周囲にいる人全員がゴホゴホと咳き込む様になる。そう、この怪しい危険な紫色のミストを吸い込んでしまっているのだった。このアルカリ系のミストは酸系の時とは違った咳き込み方をする。酸系ミストだと呼吸は苦しくなるけれどコホコホという感じの軽い咳なのだが、アルカリ系ミストだと呼吸は出来るけどガホッガホッというとても大げさなしつこい咳になる。これって恐らく粘膜が溶けているんだろうな。

2014年8月18日 (月曜日)

やらかした記憶・・・第21呟【金属が割れる!パキパキッと】

【金属が割れる!パキパキッと】

 ニッケルリン合金というものがある。無電解浴でも電解浴でも同じ様な性質で、リンを5~10%含んだニッケル合金皮膜を得ることが出来る。めっき処理は品物をジグに引っ掛けて行うのであるが、品物以外の部分ではジグの金属が剥き出しになっている箇所にも析出する。ジグは再利用するために析出しためっき皮膜を取り除かなければならない。そのまま連続で使っているとどんどん太っていき、その箇所へ無駄にめっきをすることになって薬液コストがバカにならないからだ。

 大抵は硝酸に浸けておけば溶ける。でも数百ミクロンとかの膜厚になったものはそんな簡単に溶けるものではない。そこでペンチなどを使って予め手動除去を試みる。ニッケルリン合金は析出直後でビッカース硬度がHv450前後あって非常に硬くて脆い金属である。ペンチで挟んで力を加えると簡単にバキバキッと割れる、金属なのに綺麗に割れるのである。そしてこれが何とも気持ちいいのだ。割れて砕けて粉々になっていく。割れた破片のエッジは非常に鋭くて紙を綺麗に切れるし、針状になったら思いっきり刺さる。剃刀の刃に使えるぐらいなので当然といえばそうかも。

 あまりに楽しくてバキバキやっていると、事情を知る者がしつこく注意してくれる。破片が目に入ったり、指に刺さったりして取れなくなることが何度もあったらしいな。

やらかした記憶・・・第20呟【亜鉛ダイカスト、ベリック材での苦労】

【亜鉛ダイカスト、ベリック材での苦労】

 軽くて頑丈な亜鉛ダイカスト製のパーツに青化銅めっきを施す試作での事。鋳造後のバリがことのほか酷かったのでちょっと強めにエッチングしていたところ、あっと言う間に真っ黒になってしまった。材質を調べてみるとベリック材というタイプで、合金成分に銅を含んでいることが判った。さては銅がエッチングによってスマットとして表出してきたのだな、このまま青化銅めっきをしても密着不良になるだけだから落としておかないと。

 試した、色々とやってみた、でも落ちなかったね、完全に取れない。薬品でも超音波洗浄でも残ってしまう、あ~どうしよう、困った~。お客さんから預かっている数少ない試作用パーツなので替えが効かない。それで最終手段、作業性優先のため素手のままブラッシングを敢行、弱アルカリ脱脂剤に浸しながらの手動除去に踏み切ったのだった。おかげで両手のひらはアルカリでやられてポロポロ、素材のほうは青化銅めっきでフクレもなく密着よく析出してくれてなんとかリカバリー出来た。

 でも、結局は苦労して試作品作っても薬液は採用してくれなかったんだっけ。

やらかした記憶・・・第19呟【業務用?青化ソーダの形】

【業務用?青化ソーダの形】

 青化亜鉛めっきラインの浴管理で用いる青化ソーダ。現場ラインの脇に業務用20Lペール缶入りのタイプがよく置いてあるのを見る。中を見てみると手のひら大の巨大なラムネ菓子の形をした青化ソーダのボールが詰まっている。

 これを見てからというもの、小さなタブレット菓子ではそうでもないけれど、ちょっと大きめなラムネ菓子を見ると思い出してしまうのである、もしかしてこれが青化ソーダだったとしたらどうなるかとかネ。反対に、トラブル立ち合いで食事もまともに取れない状況で、この巨大なラムネ形状を見た時、もしかしたら食べれるかも・・・・・とか思ったりしかけたことはあったナ。

 

やらかした記憶・・・第18呟【断面観察の樹脂埋めで悲劇】

【断面観察の樹脂埋めで悲劇】

 不良解析などで、品物を樹脂に埋めて断面方向から観察を行うことがある。2液混合式のエポキシ樹脂に埋める際、品物に気泡が付着したまま固まると目的の箇所が正確に研磨できないので、真空脱泡装置の中に入れて気泡を抜く作業を行う。目には見えない様な極々小さな気泡も、真空装置の中に入れるとやがて膨張し浮力を得て浮き上がってくるのだ。

 2液混合式エポキシ樹脂は混ぜた直後から硬化を始め、5時間ほどで完全に固まる(種類にもよるけどネ)。50℃くらいに加熱すると硬化反応が加速して1時間ほどで固めることができるので、トラブルなど超特急な解析が必要な時は誠に重宝する。真空脱泡装置の中に入れて泡抜きをしていると、たまにそのまま忘れてしまうことがある。するとこれはとんでもないことになっていたりする。

 エポキシ樹脂の硬化反応は発熱なので、空気中に置いたり恒温槽の中で固める時は問題ないのだが、真空脱泡装置の中だと都合が悪い。何故かというと、周囲が熱を伝えない真空なので硬化発熱が次第に蓄積していき、硬化反応そのものをさらに加速、よりいっそう発熱し・・・という連鎖反応が続いてついには樹脂の硬化剤成分が発泡、結果巣穴だらけのスポンジ状に固まってしまうのである!こうなるともう研磨などとてもできない状態。解析目的の不良品で指定箇所がそれ一つだった時には声も出なかったな。

やらかした記憶・・・第17呟【無電解めっき浴の分解】

【無電解めっき浴の分解】

 無電解めっき浴は何もしなければ安定性を保つ働きがある。つまりめっき対象の品物を浸漬した時だけめっき反応が起こる様に作ってある。電気めっきでは電気を流さなければめっきしないので析出をコントロールしやすいのだが、電気を使わない無電解めっきでは反応を起こす金属が混入した場合、それを全て取り除ければ反応を止めることが出来るけれど、微粒子サイズの混入物は全て取り除けない。するとこれを核にしてどんどんと析出反応が加速していきやがて安定性を失って分解に至る。

 さて、一連のテストも済んだことだし、後片付けに入る前に少しイタズラでもしてみるか。目の前には100℃前後でグツグツしているウオーターバスに無電解ニッケルめっき浴の入った3Lビーカーが浸してあって、浴温は90℃前後をまだ保っている。テストが終わっためっき液はこのまま廃液タンクへ直行なので、その前に安定性を調べるため微量な鉄粉を入れてみる。すぐにめっき反応が始まり副反応生成物である水素ガスがブクブクと発生してくる。まだ大丈夫、もう少し足してみる。水素ガスの発生が一段と激しくなった。水素ガスの白い泡がエメラルドグリーンなめっき浴中を掻き回していて例えるならメロンソーダの様相。

 ビーカーの底へ溜まっている粉末を撹拌して反応性を高めてみる。より一段と激しい水素ガスの発生。やがてまるで沸騰しているかのような状態になって綺麗なエメレルドグリーン色だっためっき浴は黒っぽく濁っていく。分解が始まった証拠だ。そのまま見守っていると一気に分解が加速して真っ黒いヘドロ状の泡がビーカーの縁を超えてウオーターバスへ流れ出す!終わったな、このめっき浴はよく耐えた方だな、安定性も比較的高い様だ、との知見を得たものの、ニッケルの化けた真っ黒ヘドロにまみれたビーカー、ウオーターバス、さらには越境してこぼれた実験台を片付けるのに多くの時間を費やさねばならない、もう本日の終業時間すぎてるじゃないの。

2014年8月17日 (日曜日)

やらかした記憶・・・第16呟【色々な、変色】

【色々な、変色】

 化学薬品を扱っていて迂闊にも指先に付着してしまった時、時間差攻撃のように後から効いてくる変色がある。

 62%濃硝酸を扱っている時に誤って皮膚へ付着すると、後日その箇所は真っ黄色になる。これはキサントプロテイン反応によるもの。一皮分がやられているため、洗っても落ちない。削り取れば消える。

 35%過酸化水素が付着すると、しばらくしてから針で刺す様なチクチク、いやそれでは生ぬるい、どう表現したらいいものか上手く説明できないけれども、ピシッピシッという感じの強烈な痛みが襲ってくるとともに、その箇所は真っ白になっている。オキシドールで消毒しているのと同じ現象なのだが、痛みも白化変色も数倍酷い。しかし、この白変色は過酸化水素が完全に分解すれば消えてくれるので有り難い。ま、それまでの間、痛みを我慢せねばなるまいが。

 定量分析などで硝酸銀溶液をビュレットから滴下している時、コックを捻っているとどうしても指先に付着してしまう。これがどなるかというとその部分は真っ黒に。洗っても取れない。皮膚の深い部分にまで浸透していて一皮めくれば取れる。このことをよく知っている者は、面倒でも必ずゴム手袋を着用しているな。

 クロムめっき液が誤って指に付着した場合、その箇所は茶褐色になる。皮膚にクロム酸が浸み込んでしまうため、水で洗っても落ちない。しかし、これは6価クロムイオンの仕業なので塩酸ヒドロキシルアミン溶液などの還元剤で中和すれば脱色できる。若干薄い緑色が残るけれども、あまり目立たないので助かる。

 金属系材料で軽く表面をエッチングしたりすると、合金成分が表面に浮き出てきて困ることがある。これらを除去するときに用いるアルカリ過マンガン酸カリウム系スマット除去剤が指先に付着してしまうとその箇所は黒褐色になる。これも水で洗って落ちる様な変色ではない。だが、塩酸や塩酸ヒドロキシルアミンなどの還元剤で中和すれば脱色可能。

 いづれにしても、付着した箇所の皮膚は一皮分やられるか、荒れるかであまり気持ちのいいものではない。作業性を犠牲にしてでも手袋を装着するのは、実際に経験してみれば良く判ることである。

やらかした記憶・・・第15呟【ビーカー綺麗に洗った?】

【ビーカー綺麗に洗った?】

 様々な表面処理のテストで使いまわしているビーカーで良く起こること。無電解銅めっきや無電解ニッケルめっきなど、電気を使うことなく目的の対象へ銅やニッケルなどの金属皮膜を形成することのできるめっき処理方法がある。このめっき浴はある条件を除いて、長期に渡って安定性を保つ様に工夫してあるのだが、その限定条件とは触媒金属との接触である。無電解銅めっきであれば銅や銀、パラジウムなどの触媒金属に触れると、めっき浴中に溶けている銅イオンがその金属の上に析出していく。無電解ニッケルめっきでも同じで、ニッケルや鉄、パラジウムなどの触媒金属に接触するとその上にどんどんニッケルが析出してく。

 銅やニッケルなどの金属が付着しているかどうかはビーカー壁を透かして見れば大抵は判る。うっすらと灰色にくすんでいたら、極めて薄いけれども残っている可能性がある。その場合は硝酸に浸漬すればすぐに除去できるのであまり問題にならない。惨事を引き起こすのはめっき析出反応を起こす触媒金属の中でも特にパラジウム。大抵これがビーカーに残っていても見た目には判らないことが多いからである。そのまま無電解ニッケルめっき浴を建てようものなら、ビーカー壁がまことに綺麗な鏡になってしまう、そう顔が映るくらいに。

それで、「誰だ~!パラジウム使って王水洗浄しなかったヤツは!」ということになる。

 温度が上がるのを待っていて、さてそろそろテストしてみようかと思った矢先にビーカーが鏡になっていたということは本当に何回もあった。パラジウムは硝酸に浸けておいてもすぐには除去できず時間が掛かるけれども、王水ならば一瞬で取ることができる。だからドラフトの中にはポリタンクを切って作った容器にいつでも王水が溜めてあったりする。お蔭でドラフトの寿命が非常に短くて、新品買ってもすぐにボロボロで錆だらけという状況。

2014年8月16日 (土曜日)

やらかした記憶・・・第14呟【光沢剤はいい香り】

【光沢剤はいい香り】

 問い合わせ対応、不良解析、試作などにほとほと疲れて(憑かれているともいうネ)しまった時のこと。一人こっそりと薬品庫に潜入することがある。ここには劇物、毒物の他に各種めっき用光沢剤なども保管している。その中でも亜鉛めっき用と電気ニッケルめっき用の光沢剤が置いてある棚の付近がよろしい。何がいいかというと、芳香性を持つ化合物を配合していて、亜鉛めっき用ではバニラ、電気ニッケルめっき用では桜餅の香がする。つまりバニリンとか、クマリンとかを含んでいるということ。

 あんまり気持ちのいいことではないけれど、劇物や毒物の置いてある同じ部屋の空気を思いっきり吸いこんでみる。一時、バニラの香りが効いた焼き菓子や桜の香りが和を醸し出す桜餅を頂いている気分に浸れる・・・・・これもう終わってるな。

やらかした記憶・・・第13呟【ジュラコン製歯車は何処に】

【ジュラコン製歯車は何処に】

 ガラめっきをするために小型実験用バレルめっき装置を作った時のこと。バレル回転用のギヤにエンプラではなく汎用のジュラコン品(ポリアセタール樹脂)を使っていた。無電解ニッケルめっきのテストを終え、バレル全体にめっきが析出してしまったので硝酸剥離することにした。析出した無電解ニッケルめっきは耐食性が高くてなかなか剥離しない。仕方ないので一晩浸漬しておくことにした。バレル装置自体はPP樹脂やアクリル樹脂を使って作ってあるし、軸棒やネジなどはSUS304なので硝酸には耐える。

 でもジュラコンはダメだ、酸に弱い。翌朝、ドラフト内で硝酸の入った5Lビーカーに浸漬しておいたバレル装置を引き上げてみると・・・・・、勝手にカラカラと空回りして明らかに動きがおかしい。よくよく調べてみるとSUS304の心棒が露出している様子が判る。ギヤだけはどこにも見つからない。もしやと思って硝酸の入っているビーカーの底を確認してみるが沈んでいる気配もない。やばい、完全に溶けちゃったな。

やらかした記憶・・・第12呟【四角いポリタンクが真ん丸に】

【四角いポリタンクが真ん丸に】

 銅張りプリント基板用の硫酸過酸化水素系エッチング剤をテストしていた時のこと。度重なるビーカーテストで出た廃液を20Lのポリタンクに溜めていた。満タンになったら廃液処理に出す予定でフタは開けていた。そしてそろそろ満タンに近づいた頃、廃液処理業者はまだ引き取りに来ない様子だったので、中身がこぼれ出ない様にしっかりとフタを閉めて屋外の指定の場所に出しておいた。

 折しも季節は夏、屋外の木製パレットの上に置いてあった当該の20Lポリタンクは炎天下で直射日光を受けて放置され続けた。やがて廃液処理業者がやってきて次々とトラックの荷台に積み込んでいく。順調に作業は続いていたかに見えたが、あるポリタンクのところで手が止まった。20Lのポリタンクは本来は積み上げやすい様に四角い形をしているのだが、そいつは見事に真ん丸だった。こんなに四角いものが真ん丸になっている様子は見たことない。そしてしばらくの間、誰もそれに近づこうとはしなかったな。

 硫酸過酸化水素系エッチング液は、銅が溶けていない状態では長期保存できるが、一旦銅を溶かしこんでしまうとそれが触媒となって過酸化水素が次々と分解してしまう。ポリ容器に詰めて密封するなら、分解発生する酸素ガスが逃げる様にフタへ小さな穴を開けておくのが常識なのだった。製品20Lポリでは専用のガス抜きフタを使うので在庫しても容器が膨れる様なことはない。

2014年8月15日 (金曜日)

やらかした記憶・・・第11呟【ホールピペットで失敗】

【ホールピペットで失敗】

  各種めっき液および表面処理剤の分析においてサンプリングに使用するホールピペットの取り扱いで失敗した件。既に苦い経験を積んでいる者はピペッターなるゴム球を使って溶液を吸引サンプリングするのであるが、急いでいる時や面倒くさい時は口で吸ってサンプリングした方が手っ取り早い。そんなことをやっているから何度も痛い目にあうのであるが。

 酸系の溶液をサンプリングする際に失敗して口の中に吸い込んでしまうと、大抵は歯のエナメル質が溶けて表面の舌触りがザラザラに感じる。アルカリ系の溶液でサンプリングに失敗すると、口の中の粘膜が溶けて口内のヌルヌル感が無くなる。酸を吸って歯の表面がおかしく感じるのは慣れるけれども、アルカリを吸って粘膜が溶けてしまうと、そこは再生するまでの間可成り痛みが続く。苛性ソーダだと口内の痛みが強いだけだが、アンモニアの場合は口内粘膜の溶解とともに鼻粘膜への刺激も加わって少し違った苦しみ方?になる。

やらかした記憶・・・第10呟【混ぜたら危険】

【混ぜたら危険】

 廃液処理の際、混ぜたら危険な組み合わせというのがある。一般的には青化物を含んだ廃液に酸を入れると青酸ガスが遊離するので危険なことは良く知れ渡っている。また、次亜塩素酸ソーダ系と塩酸系の洗剤を混ぜることで遊離する塩素ガス、硫化物を含んだ入浴剤に酸を混ぜることで遊離する硫化水素ガスが危険であることも周知である。これらの組み合わせは化学屋なら判っているので普通はやらない。しかしながらこれ以外でやってしまうと相当に危険なことになる組合せというのがある。

 無電解銅めっき浴は還元剤としてホルマリンを使っており強アルカリ性の溶液である。そしてプリント基板内層銅箔の密着性を向上するための黒化処理剤は仏具などの銅および銅合金用黒染め処理剤と同等組成で、高濃度の次亜塩素酸ソーダと苛性ソーダとを含む強アルカリ性溶液である。両者とも強アルカリ性なので、廃液処理の際は一緒に出来ると考えるのだけれど、この組み合わせは実はダメなのである。ホルマリンは還元剤、次亜塩素酸ソーダは酸化剤、つまりこの両者を混ぜると酸化還元反応が始まってしまうのである。酸とアルカリの中和反応ではないので急激な発熱は生じないものの、酸化還元反応による分解熱が蓄積していき、ある温度を超えた時点で一気に分解ガスが遊離してくる。これは揮発温度が11℃と低い二酸化塩素ガスで、塩素消毒における塩素ガスの代わりに使ったりしているもの。

 反応を止めるには冷却するか希釈するかで二酸化塩素が揮発してこない様に液温度を下げるしかない。強アルカリを中和しようとして酸を加えたりすると中和熱が発生して温度が上がり余計に揮発してくるので使えない。かつてこの組み合わせで20Lの廃液ストックタンクに混合放置した時は、噴き出すガスで近寄ることが出来ず反応が納まるまで実験室ワンフロアを閉鎖する事態となった。合掌。

やらかした記憶・・・第9呟【ニッケルを飲む男】

【ニッケルを飲む男】

 無電解ニッケルめっき浴の自動分析補給装置をメンテしていた時のこと。めっき液のサンプリング経路に支障があって、エアばかり吸って液を吸い込んでこない。分析値が異常を示して一向に補給が掛からない。めっきラインは自動機で動いているので作業を止めない中でのメンテナンスは大変。分析装置メンテ中も本槽のめっき浴はニッケル濃度とpHがどんどん下がっていく。早くメンテを終えて自動補給を掛けないと、めっき析出速度も下がってしまい大量のめっき不良品を作ることになってしまう。焦る。とても焦る。分析値は判らないままだけど、推量を元に制御パネルを操作して手動で補給を掛けつつ、サンプリングしてこない原因を探る。サンプリング用の内径4mmテフロンチューブがどこかで詰まっている可能性があり、サンプリング用電磁ポンプの吸引圧力では引いてこれないらしいと判る。急いでサンプリング経路を辿り、ニッケル析出物が詰まっている箇所を特定、そして除去後、サンプリングポンプが順調にめっき液を引っ張ってくるのを確認。経路が長いので装置内部まで引き込んでくるのに時間が掛かる。自動分析を早急に行わねばならないので、呑気に待てない。焦った挙句、ポンプに繋がっているサンプリングチューブを自分の口にくわえて強制的に吸い込む暴挙に出た。人間サンプリングポンプである。

 無電解ニッケルめっき浴は、ニッケルイオン供給元の硫酸ニッケル、還元剤の次亜リン酸ソーダ、有機酸などのキレート剤を溶かした綺麗な緑色の透明溶液。害が無いとは言い切れないが、思いっきり口の中に吸い込んだ。硫酸ニッケルと次亜リン酸ソーダが反応してできる硫酸ソーダはとても辛くて塩味っぽい。そう、この時、無電解ニッケルめっき浴には味があることを知った瞬間だ。

 身を挺してサンプリングし、経路を満たしためっき液はチューブの先から順調に滴っていたので分析装置に繋いで自動分析を開始、分析後に自動補給が掛かってめっきラインは事なきを得た。傍らで見守っていたブラジル人ライン担当作業者は、このおかしな日本人の行動に飛び上るほど驚いていたと後で聞いた。このことがきっかけとなって、その後ライン担当者との間に信頼関係が生まれ、情報のやり取りがスムーズになったのは棚ボタであった。ただ、『ニッケルを飲む男?』という誤解は拭いきれていない様だが。

やらかした記憶・・・第8呟【青酸ガスで軽く中毒】

【青酸ガスで軽く中毒】

 鉄鋼上の浸炭防止用銅めっき皮膜を剥離するテストをしていた時のこと。この場合の剥離剤はシアン浴を用いるのが妥当。ニトロ基を多く含む酸化剤と青化ソーダの粉末を50℃のお湯に溶かして建浴する。品物は強アルカリ脱脂剤で油分を取り除いて塩酸活性に通した後、水洗してから剥離剤へ投入する。時折、品物を取り出して銅めっきの剥離具合を確かめなければならない。銅めっき皮膜は酸化剤で褐色に変色しているので一旦塩酸活性に通して酸化皮膜を除去してからめっき残りの具合を観察する。何度も繰り返すので、品物の形状によっては汲み出しのために青化ソーダを大量に含んだ剥離剤へ酸活性の塩酸を持ち込んでしまう。剥離中の様子も観察するので、ビーカーの縁ぎりぎりまで目を寄せることもしばしば。

 この時、吸ってしまうんだな青酸ガスを。知らない間にどんどん吸ってしまう。しばらく実験していると頭がボーッとしてきてフワフワした感覚と少し冷や汗をかいているのに気付く。これもう軽く中毒症状出てるのに、そのことに気付くのが遅れるのは、それだけ意識が遠のいているからだろうな。

やらかした記憶・・・第7呟【強アルカリで指紋消失】

【強アルカリで指紋消失】

 5Lビーカーで脱脂剤を建浴していた時のこと。建浴濃度50[g/L]の鉄鋼用強アルカリ脱脂剤250グラムをビーカーに投入し、流し台の瞬間湯沸かし器から50℃の熱湯を注ぐ。実験台へ移すために一旦床に置いた時、ビーカーの底に亀裂が入っていたらしくて、コツッという鈍い音がしたとおもったら、派手に割れてしまった。一瞬で辺りは強アルカリ液で海に。慌てて雑巾で吸い取りながら廃液タンクの上で素手のままで絞る、そして再び床を吸い取る、の動作を5L分繰り返した。なんとか全てを吸い取って事態は無事に収拾したかと思ってほっとする。

 脱脂剤をこぼした場所の床の塗装は周囲よりも少し薄くなっていた。と同時に、自分の両手の皮膚も少し薄くなった様に思う。なぜなら割れたビーカーを片付けて両手を洗った時に、石鹸を使っていないのにもかかわらず、いつまでたってもヌルヌルしていて取れなかったからだ。そう、すでに両手の皮膚はアルカリで溶けていたのだった。指紋はなくなるし、酷い荒れ様でしばらく両手はガサガサだった。

やらかした記憶・・・第6呟【装置に指を挟む】

【装置に指を挟む】

 とあるめっき業者の無電解ニッケルめっきラインに立ち会っていた時のこと。品物を上下にロッキングする装置の動きが悪いので様子を見ていたところ、ちょうど降りてきたハンガー受け梁に指を挟んでしまった。ロッキング装置は数分に1回程度の周期で5cmほどの幅で上下している。脱脂槽のスチーム配管に梁が当たっていて動きが鈍っているのが判ったので、梁が上昇している間にスチーム配管の位置を再び降りてくるギリギリまで調整していたからだ。挟んだ指はどうしても抜けなかった。次のロッキング周期が来て上昇するまで待とう、そう気楽に考えた。でもよく見ると、指の下にはスチーム配管が走っている。これって今スチーム温調が入ったら焼けてしまうんでないの?ふと思って急に冷や汗がダラダラと流れはじめる。真後ろには90℃でバブリングしている無電解ニッケルめっき槽からの熱気が吹き寄せているけどそれとは違う! 待った。ひたすら待ったね。次のロッキング周期で梁が上昇するまでの間、なんとかスチーム温調のスイッチが入りませんように、とありったけの念力使ったね。いわゆるパニック状態というのは、何かまだ対策が打てる時にはそうならないものだけれど、その時は本当に打つ手が無くてパニクってしまいただ待つしかなかった。

 すぐに人を呼んで制御盤から温調のスイッチ切ってもらうとか、ロッキング周期を変えて貰うとかすればいいのだろうけど、その日は24時間操業の自動機ラインの深夜立ち合い。必要最小限の作業員しかいないので、回りには自分しかいない状態。人も呼べない。指挟んで動けないので近くの非常停止ボタンが押せない、いや、ライン止めたら今めっきしている品物が全てパーになるから押せない。次のロッキング上昇まで待つ間、最悪の事態になった時に指先の負傷とか、労働災害とかがどうなるか冷静にシミュレーションしている自分は果たしてまともなのかどうか。

 数分後、無事にロッキング周期のタイマーが反応して梁は上昇し、スチーム温調が入る前に指を抜くことが出来た。誰にも迷惑をかけることなく無事に済んで良かったと思うとともに、化学屋で機械屋で電気屋な自分は、懲りることもなく何度も装置に突貫してしまうんだろうなぁ。

やらかした記憶・・・第5呟【NOx(ノックス)ガスの爆発的発生】

【NOx(ノックス)ガスの爆発的発生】

 無電解ニッケルめっきでステンレスタンクに槽析出してしまった場合、浴を抜いてから62%濃硝酸を張って析出したニッケルを完全に溶かしつつ、ステンレス表面への硝酸パッシペート処理(不動体化皮膜を生成する)を行う。効率良く短時間で済ませるにはなるべく生の濃硝酸を使うのがいいのだが、その分ニッケルの溶解に伴うNOx(ノックス)ガスの発生も著しい。茶色いガスで吸い込むと鼻の粘膜がやられて呼吸が苦しくなる。物が燃えた時の不透明な煙とは違い、茶色くて半透明なガス。これがそのまま屋外に出ると臭いも凄いし見た目にも火事と疑う。

 高耐食性無電解ニッケルめっき浴で起きた槽析出のニッケルを硝酸剥離していた時のこと、最初はほとんど反応しなかったが、時間差を伴って次第に溶解が進んで一気に反応、猛烈なNOxガスがボコボコと噴出し始めた。この時のガスが室外に大量放出し茶色い煙を見た近隣住民が119番通報したことがあった。よく知っためっき屋は、もちろんドラフトを通じて無害化して排気することは当たり前にやっているが、NOxはどうしても発生するので発生源付近に濃アンモニア水を張ったバットを置いておいたりする。すると、茶色いガスは瞬時に白いガスへと変化して弱毒化する。これは空気中でNOxガスとアンモニアガスとによる中和反応が起こり、硝酸アンモニウムが生成するからである。この工夫で随分と危険性が下がり、作業環境の改善も図ることができる。

やらかした記憶・・・第4呟【濃硫酸で発火】

【濃硫酸で発火】

 クロムめっき浴を建てるために無水クロム酸と98%濃硫酸とを扱っていた時のこと。クロムめっき液のサージェント浴は、無水クロム酸を250[g/L]、98%濃硫酸は2.5[g/L]を溶かせばよい。5Lビーカーをデジタル天秤に載せて風袋リセット後、無水クロム酸のフレークをザーッと流し込んでいく。次に水を3Lくらい加えて無水クロム酸を溶かしながら、98%濃硫酸を滴下する。ジュッという音を上げて濃硫酸の雫が溶けていく。瓶の縁に粘着した濃硫酸をJKワイパーで拭き取って傍らに置く。5Lビーカーを天秤から下ろし、ウオーターバスのあるところまで移動し加温開始。お湯を加えて5Lまでメスアップ、しばらく温度上がるのを待っていたところ・・・、ん、焦げ臭い!なんだ、何か燃えている!?

 98%濃硫酸は有機物に触れると発火する危険性がある、なんてもんじゃない、実際ちゃんと発火する。さっき垂れた濃硫酸を拭き取ったJKワイパーは真っ黒になって煙が出ていた!紙パルプは濃硫酸の脱水反応によって一瞬で炭化し、そこへ反応熱が加わって発火したのである。これはすぐに起こらなくて、ある程度の時間差を経てから事態が発覚するので厄介。あまり慣れていない営業マンが98%濃硫酸を扱って盛大に溢し、拭き取った雑巾をそのまま放置したり、水に濡らさないままJKワイパーをゴミ箱に捨てたりして出て行ってしまった後、しばらくして無人の状態で火を噴くことがよくあったな。

やらかした記憶・・・第3呟【塩酸ガスの発生】

【塩酸ガスの発生】

 酸活性浴を建てるために35%濃塩酸を取り扱っていた時のこと。その日は梅雨真っ只中で壁紙が浮いてくるようなじっとり感が満載、実験室内の湿度は比較的に高かった。メスシリンダーで200mLを計量し、次の瞬間それを思いっきり倒して実験台の上にまき散らしてしまう。すると空気中の湿度に触れた塩酸が白煙となって室内は真っ白に!すぐに、誰だ~!塩酸こぼしたのは!の声が。

 白煙を見てすぐに何をやったか判るってのは、案外誰でもやってるから?頻繁に起こっているから?火を扱う職種ではないので燃えた煙とは疑わないのもどうかと思うけど。

やらかした記憶・・・第2呟【過酸化水素の爆発的分解】

【過酸化水素の爆発的分解】

 鉄系材料の鏡面化学研磨に使った酸性フッ化アンモン過酸化水素系エッチング液をドラフトで中和分解していた時のこと。5L位のエッチング廃液を切断した10Lポリ容器に入れて水酸化ナトリウムの粒状を直接投入していた。すると瞬間的に過酸化水素が分解して大量の酸素がシュワシュワと発生してくる。ガスが出なくなったら中和終了なので、ひたすら様子を見ながら続々と投入していく。鉄系の鏡面化学研磨剤は過酸化水素の濃度が比較的に高いので、相当量の水酸化ナトリウムを投入しなくてはならない。一気に入れると爆発的に反応して収拾がつかなくなるので少しづつ入れいた。・・・少し入れてガスの出方を見てからまた少し入れて・・・・・ああ、そろそろ面倒になってきた。それでちょっと多めに入れてみた・・・・・ブワッブワッ~!うわ~、いかんいかん、退避!退避!!!

 ドラフト内は溢れた茶色の泡だらけ。これは溶けていた鉄分が中和して水酸化鉄の茶色いヘドロ状になったものだ。そう、既に廃液は中和点に近づいていたのにそこへ必要以上の水酸化ナトリウムを投入してしまったものだから、急激にアルカリ側へシフトして一気に過酸化水素が分解したのだ。さらに中和反応熱も蓄積してそろそろ液温が60度を超えていたから、熱による分解反応も一気に加速したという訳で。

 

やらかした記憶・・・第1呟【青酸ガス発生】

【青酸ガス発生】

 亜鉛ダイカスト用の青化銅ストライクめっき浴を5Lビーカーに建てて(建浴して)いた時のこと。スターラーで撹拌しながら青化銅と青化ソーダを溶かしつつpH調整を始めると、どうにもシュワシュワとガスが発生してくる。手元の粉末をどんどん入れていくけどpHは下がらない。そこで傍らに置いていた薬瓶のラベルをよく見て見ると・・・、クエン酸?あれ、酒石酸カリウムナトリウム(ロッシェル塩)じゃない!ヤバイヤバイ、これ青酸ガス出てる!!!

 途端に冷や汗がドッと出てきた。もしかして吸っちゃった?めまいのようなフラフラした感覚もあるし!意識を保ちつつ、建てたばかりの浴は廃液タンクへ直行。裏口から非常階段へ出て外気を思いっきり深呼吸。ああ、空気が旨い。

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